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熱田神宮

(あつたじんぐう)

三種の神器の一つ、草薙神剣を祀る神社

熱田神宮は、愛知県名古屋市熱田区に鎮座する由緒ある神社です。式内社(名神大社)、尾張国三宮としてその名を知られ、旧社格は官幣大社に指定されていました。現在では神社本庁の別表神社として格付けされています。

千年以上の樹齢を誇る楠の木々に囲まれた約6万坪(約19万平方メートル)の緑豊かな神苑「熱田の杜」に鎮座しています。神紋は「五七桐竹紋」。古くから「熱田さん」と呼ばれ、年間約700万人もの参拝客で親しまれている神社です。

熱田神宮の概要

神社の位置とその変遷

熱田神宮は、名古屋市南部の熱田台地の南端に位置しています。かつては伊勢湾に突出した岬上にありましたが、干拓の進展により現在のような地形となりました。

草薙剣の神話と受難

三種の神器のひとつである草薙剣(くさなぎのつるぎ)を祀る神社としても有名です。この剣は、日本の歴史において多くの事件に関わりを持ち、時には盗難や失われる危機にも直面しました。

創祀は景行天皇43年、神社の創建は仲哀天皇元年あるいは646年(大化2年)と伝えられています。歴史の中で尾張国の地方大社としてその存在感を発揮し、中世以降は国家的崇拝の対象となるまで発展しました。

建築様式と参拝

熱田神宮の建築は伊勢神宮と同じ神明造ですが、1893年(明治26年)以前は尾張造と呼ばれる独自の様式でした。この様式は、境外摂社である氷上姉子神社に見ることができます。

毎年初詣には200万人以上の参拝者が訪れるなど、熱田神宮は現代においても多くの人々に親しまれています。

境内の主な建造物

本殿

熱田神宮の中心である本殿は、1893年(明治26年)に建築され、その後数度の改修を経ています。 建築様式は神明造で、屋根には銅板が葺かれています。拝殿から見える社殿の最奥には、千木(ちぎ)や勝男木(かつおぎ)が特徴的な本殿が鎮座し、ここに熱田大神が祀られています。

拝殿

拝殿は参拝者が本殿にお参りするための施設で、外玉垣御門と四尋殿を併せ持つ形で設置されています。 東西には翼廊が付設され、荘厳な雰囲気を醸し出しています。例祭や様々な祭典がここで行われます。

信長塀

永禄3年(1560年)、桶狭間の戦いに赴く前に織田信長が戦勝祈願を行い、戦後の感謝の意を込めて築いた土塀の一部が現存しています。 この塀は「日本三大土塀」の一つとして知られ、歴史的価値が高いものです。

西楽所

貞享3年(1686年)に将軍綱吉の命で再建された建物で、熱田神宮に残る数少ない江戸時代以前の建築物の一つです。

大楠

境内には樹齢千年を超えると言われる大楠があります。その巨木は神秘的で、多くの参拝者が訪れる理由の一つとなっています。 特にその存在感は圧倒的で、生命力を感じることができます。

千秋閣

千秋閣は、1950年(昭和25年)6月25日に竣工した数寄屋造りの茶席です。その後、1989年(平成元年)7月に改築され、美しい伝統建築の姿を今に伝えています。

客殿

熱田神宮の客殿は、訪問者をもてなすための重要な建物で、格式ある佇まいが印象的です。

又兵衛(国登録有形文化財)

江戸時代中期に建てられた旧坂上家住宅で、飛騨地方から移築されました。1936年(昭和11年)には昭和区へ、1957年(昭和32年)には神野金之助の寄進により現在地へ再移築されました。

宝物館

境内には「宝物館」と呼ばれる施設があり、国宝や重要文化財を含む貴重な品々が展示されています。 特に皇室や徳川将軍家から寄進された品々は、日本の歴史や文化を知る上で重要な資料です。

茶室と文化施設

清雪庵

錦糸商の伊東信一の邸内にあった茶席を移設したもので、1948年に現在の位置に移されました。 美しい数寄屋造りの建物は、日本文化の繊細さを感じさせる施設です。

六友軒

美術商の集まり「六友会」により建築され、益田鈍翁が命名しました。1947年(昭和22年)、献茶会の設立を機に献納され、現在地に移されました。

蓬庵

1966年(昭和41年)10月1日に竣工した数寄屋造りの茶席で、高橋彦二郎が献納しました。

蓬乾亭

元はお茶所として使用されていた建物で、1977年(昭和52年)に修復されました。

龍影閣(国登録有形文化財)

旧名古屋博物館品評所として1878年(明治11年)に建設され、その後、庄内公園を経て1968年(昭和43年)に現在地に移築されました。

庭園と広場

庭園「勾玉苑」

勾玉池を中心とした美しい池泉回遊式庭園で、四季折々の花々が咲き誇ります。 静かな環境で散策を楽しむことができ、多くの参拝者の癒しの場となっています。

くさなぎ広場

広々とした開放的な広場で、多くの人々が集い、特別な行事やイベントが行われます。

二十五丁橋と南神池

二十五丁橋は境内を流れる池に架かる趣深い橋で、南神池との景観美が魅力的です。

その他の見どころ

剣の宝庫 草薙館

「草薙神剣」に関する資料が展示されており、訪れる人々にその歴史を伝えています。

ならずの梅

花が咲くが実を結ばないことから名付けられた古木で、古図にも描かれた歴史的な梅の木です。

大幸田神社

五穀豊穣や富貴栄達を祈願する神社で、1月には世様神事や踏歌神事が行われます。

佐久間燈籠

御器所城主の佐久間盛次の四男勝之が、海上で台風に遭遇した際、熱田神宮に守護を祈願したことで無事を得たことから寄進された灯籠です。 日本三大灯籠の一つとして知られています。

剣の宝庫 草薙館

草薙神剣にまつわる歴史や物語を学ぶことができる資料館です。特に日本神話や天皇制に興味を持つ方にとって貴重な施設です。

祭神について

主祭神とその意味

主祭神は熱田大神(あつたのおおかみ)で、草薙剣を神体として天照大神を指しています。草薙剣そのものが天照大神の「霊代(実体)」であるとされ、古くからそのように崇められてきました。

相殿神

熱田神宮の相殿には以下の神々が祀られています。

これらの神々は草薙剣と深い縁を持つ存在として祀られています。

草薙剣の伝承

草薙剣の由来

草薙剣は、素盞嗚尊がヤマタノオロチを退治した際、その尾から取り出した剣であると伝えられています。この剣は『古事記』では「都牟刈の大刀」として、『日本書紀』では「天叢雲劔」として記述されています。

日本武尊と草薙剣

日本武尊は東征の際、伊勢神宮の倭姫命から草薙剣を授けられました。熱田の地に至った後、妃である宮簀媛命に草薙剣を預け、後にこの地に祀られることとなりました。

創建の伝承と神剣の遷座

『尾張国熱田太神宮縁記』の記録

熱田神宮の創建に関する最古の記録は、『尾張国熱田太神宮縁記』に見られます。景行天皇の時代、日本武尊が草薙剣をこの地に祀るようになったことが記されています。

創祀と創建の背景

熱田神宮は、日本三種の神器の一つである「草薙神剣」を祀ることで知られています。この神剣は、古事記や日本書紀に登場し、素盞嗚尊(すさのおのみこと)がヤマタノオロチを退治した際にその尾から得たものとされています。元の名を「天叢雲剣(あまのむらくものつるぎ)」といい、神話の中で大変重要な役割を果たしています。

天皇家と草薙神剣

天照大神が天孫降臨の際にこの神剣に霊魂を込め、八咫鏡(やたのかがみ)、八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)とともに邇邇芸命(ににぎのみこと)に授けました。これにより、草薙神剣は天皇家の守護として祀られるようになります。その後、第10代崇神天皇の治世に、神威を畏れ多いとして伊勢国へ移されることになります。

熱田への遷座

熱田神宮への経緯

草薙神剣は、景行天皇40年に皇子・日本武尊(やまとたけるのみこと)が東征の際に伊勢神宮より受け取りました。その後、彼が尾張国を訪れた際に草薙神剣は現在の熱田の地に遷されます。この遷座には、日本武尊がこの地で愛した宮簀媛命(みやすひめのみこと)との深い縁が関わっています。

日本武尊と宮簀媛命

日本武尊は東征の帰途、再び尾張国を訪れ、宮簀媛命と再会しました。その後、彼は伊吹山の悪神との戦いで負傷し、尾張に戻れないまま鈴鹿川のほとりで亡くなります。日本武尊の死後、宮簀媛命は草薙神剣を守り続け、最終的に熱田を社地として選びました。

熱田神宮の創建

『尾張国熱田太神宮縁記』の記述

熱田神宮の創建に関する記録は、『尾張国熱田太神宮縁記』に詳しく記されています。この縁記は874年に熱田社別当・尾張清稲が記述したとされますが、その成立時期については鎌倉時代初頭ともいわれています。本書は『日本書紀』や『古事記』、さらに『尾張国風土記』の資料を引用し、熱田神宮創祀の重要性を伝えています。

草薙神剣がもたらす尊厳

『尾張国熱田太神宮縁記』では、草薙神剣が熱田神宮の地に祀られるまでの経緯が詳述されています。特に、宮簀媛命が占卜により熱田の地を選んだことが強調され、熱田神宮が天皇家および伊勢神宮とのつながりを持つ由緒正しい神社であることを裏付けています。

熱田神宮の現代的意義

創祀1900年を迎える

2013年には創祀1900年を記念する大祭が行われ、熱田神宮の歴史的な意義が再確認されました。この創祀年は、景行天皇43年に草薙神剣が熱田に遷座されたとする中世の記録に基づいています。

地域とともに歩む神宮

熱田神宮は、草薙神剣を中心とした日本の神話と歴史を伝える重要な場所であり、地域社会との深い結びつきを保ちながら現在も多くの参拝者を迎えています。

熱田神宮の神階

神階の昇進

熱田神宮の本宮は「熱田社」として記録に登場し、以下のように神階が昇進しました。

これらの昇進は、熱田神宮が朝廷や国家の重要な崇敬を受けてきたことを示しています。

尾張国内神名帳における記載

平安時代末期に成立したとされる『尾張国内神名帳』には、以下のように神階や社名が記されています。

これらの記録は写本ごとに内容が異なるものの、いずれも熱田神宮の高い格付けを示しています。

関連神社の神階

八剣宮

1364年(貞治3年・正平19年)に正一位を授けられた八剣宮は、熱田神宮の摂社として重要な位置づけにあります。

日割御子神社

同年、正二位を授与された日割御子神社は、地域の信仰の核として機能していました。

その他の関連神社

孫若御子神社、御田神社、上知我麻神社など、熱田神宮に関連する複数の神社が平安時代末期から鎌倉時代にかけて高い神階を与えられています。

伝説と由緒

草薙剣の創祀と返還

日本武尊が景行天皇43年に能褒野で薨去した際、その持ち物である草薙剣が創祀されました。668年には新羅の僧による盗難事件が起こりましたが、686年に再び熱田神宮に返還されています。

御田神社の創建

天武天皇年間に御田神社が創建されたと伝えられ、熱田神宮の祭祀体制を支えました。

歴史的事件と熱田神宮

平治の乱と源義朝

1160年の平治の乱で敗走した源義朝が氷上姉子神社を訪れ、一族の繁栄を祈願して太刀を献じました。

源頼朝の奉納

鎌倉幕府を開いた源頼朝は1190年に熱田神宮を参拝し、御剣を奉納しました。その後も複数回にわたり奉幣が行われ、神宮への深い信仰がうかがえます。

足利尊氏と剣の奉納

1335年、足利尊氏もまた剣を奉納し、神宮への敬意を示しました。

祭事

熱田神宮では年間を通じてさまざまな祭事が執り行われます。中でも、6月5日に開催される「熱田まつり(尚武祭)」は最も重要な祭事として知られ、多くの参拝者が訪れます。

1月

2月

3月

その他の主要な祭事

年間を通じて、5月の「舞楽神事」や「神輿渡御神事」、10月の「新嘗祭」など、多くの重要な祭事が行われています。それぞれの祭事には歴史的背景や地域の特色が反映されており、伝統文化を感じることができます。

文化財

熱田神宮は、その歴史的価値から多くの国宝や重要文化財を所蔵しています。

国宝

特に注目すべきは以下の国宝です。

重要文化財

熱田神宮には約450口の刀剣が奉納され、そのうち30口以上が国や県の指定文化財です。以下はその一例です。

その他の文化財

また、国登録有形文化財や愛知県指定有形文化財も多数存在します。これらは地域の歴史や文化を伝える貴重な資料として大切に保管されています。

見どころ

広大な神域には、厳かな本殿だけでなく、自然豊かな森や歴史的な建造物が点在しています。参拝者は歴史を感じながら、静寂の中で心を癒すことができます。

主な建造物

自然の魅力

熱田神宮の森は「熱田の杜」として知られ、豊かな緑が広がっています。この森は、都市の喧騒を忘れさせる静寂な空間を提供し、多くの参拝者に愛されています。

熱田神宮と周辺観光

伝承と歴史

蓬萊島としての熱田

熱田神宮は、古来より「蓬萊島」とも称され、多くの歴史的書物にも記されています。その名の由来は、熱田神宮が面していた年魚市潟(あゆちがた)にありました。この地は、樹齢千年を超える松や杉が生い茂り、海に突き出た岬のような風景を形成していたため、巨大な亀の甲羅の上にあるかのように見えました。このため、中国の唐時代の伝説に基づき、不老不死の神仙が住む「蓬萊島」に例えられたとされています。

楊貴妃にまつわる伝説

熱田神宮には楊貴妃に関連する伝説も残されています。伝説によれば、唐の玄宗皇帝が日本侵略を計画していた際、熱田大明神が絶世の美女・楊貴妃に姿を変え、玄宗をたぶらかし日本侵略を阻止しました。しかし、正体が露見し命を落とした後、魂が熱田に戻ったとされています。この伝説に基づき、清水社にはかつて楊貴妃の墓が建てられていましたが、明治初期の改装工事で取り壊されました。

あつたnagAya(あつたナガヤ)

あつたnagAyaは、名古屋市熱田区の神宮前駅西街区に位置する観光商業施設です。施設の老朽化により解体されたパレマルシェ神宮の跡地を再開発し、2024年にオープンしました。

施設は約7000m2の敷地面積を誇り、延床面積は約1100m2です。愛知県産の木材を使用し、街道沿いの長屋をイメージした木造平屋建ての建物が3棟建設されました。

アクセス

熱田神宮へのアクセスは非常に便利で、名古屋市内から公共交通機関を利用して簡単に訪れることができます。また、駐車場も完備されているため、自家用車での訪問も可能です。

所在地

愛知県名古屋市熱田区神宮1-1-1

交通アクセス

鉄道
バス
自動車

東門駐車場(約300台)、南門駐車場(約60台)、西門駐車場(約40台)が利用可能です。ただし、祭典行事などで制限がかかる場合があります。

まとめ

熱田神宮は、長い歴史と深い神話を持つ日本を代表する神社の一つです。その由緒正しい祭神と美しい境内は、多くの人々に感動を与え続けています。ぜひ一度訪れて、その魅力を体感してください。

Information

名称
熱田神宮
(あつたじんぐう)
リンク
公式サイト
住所
愛知県名古屋市熱田区神宮1丁目1-1
電話番号
052-671-4151
営業時間

境内自由

宝物館 9:00~16:30

定休日

熱田神宮なし

宝物館
最終木曜とその前日 12/25~12/31

料金

宝物館(企画展・特別展は別料金)
大人 500円
小・中学生 200円

剣の宝庫 草薙館
大人 500円
小・中学生 200円

駐車場
400台
アクセス

名鉄神宮前駅から徒歩で3分
地下鉄伝馬町駅・神宮西駅から徒歩で7分
JR熱田駅から徒歩で8分

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