長久寺は、愛知県名古屋市東区白壁三丁目に位置する真言宗智山派の寺院です。山号は東岳山、院号は一乗院と称され、本尊として不動明王を祀っています。長久寺は尾張藩の歴史とも深く結びついており、江戸時代から地域の文化と信仰を支えてきた重要な寺院です。
長久寺は1600年(慶長5年)、尾張国清洲城に移った松平忠吉が翌年、武蔵国長久寺から僧重敒(じゅうしゃく)を開山として迎え創建したのが始まりです。1610年(慶長15年)、徳川義直が名古屋城へ入城するとともに現在地に移転され、尾張徳川家の祈願所として重要な役割を果たしました。
長久寺は、新義真言宗の学問所が設置され、学びと信仰の中心として多くの人々が集まりました。また、庶民からも信仰を集める場所として長く親しまれています。
本堂前庭にある将棋駒形の供養塔は、庚申塔と呼ばれています。この塔には青面金剛童子や天邪鬼、三猿が彫られており、特に三猿は「見ざる」「聞かざる」「言わざる」の姿で表現されています。これらは悪事を避け、心の清浄を保つ教えを象徴しています。
庚申信仰は古代中国に起源を持ち、庚申の夜には寝ずに明かすことで災難を避け、長寿を得るという教えが千年以上も前から日本に伝わりました。江戸時代には仏教とも融合し、力強い仏である青面金剛を本尊とする信仰が広まりました。この信仰は特に金属産業や金物商に関連する人々に大切にされています。
庚申塔は江戸初期の寛文8年(1668年)の銘文が残っており、庚申信仰の歴史を示す貴重な資料として昭和35年(1960年)に名古屋市指定文化財に指定されました。名古屋市内に残る数少ない庚申塔の中でも、特に表現が優れていると評価されています。
長久寺の本尊である不動明王は、悪事を打ち砕き、信仰する人々を守る存在として崇拝されています。その強い姿と信仰の教えは、現在も多くの参拝者に支持されています。
名古屋を拠点に活動していた女優・川上貞奴は、不動明王を深く信仰していました。彼女が名古屋を去る際に自身の仏間に祀っていた不動尊を長久寺に寄進したことも、この寺の歴史に特筆すべきエピソードとして残っています。
長久寺は、名鉄「尼ヶ坂駅」から徒歩約5分、または市バス「白壁」停留所から徒歩約5分の場所に位置しています。便利な立地で、気軽に訪れることができます。
愛知県名古屋市東区白壁三丁目24番47号
長久寺は歴史、文化、そして信仰の側面から見ても非常に重要な寺院です。尾張徳川家との深い関わりや、庶民に親しまれた庚申信仰の象徴として、訪れる価値のある名古屋の名所となっています。ぜひ一度足を運び、その歴史と文化に触れてみてください。