荒子観音は、愛知県名古屋市中川区荒子町に位置する天台宗の寺院です。「荒子観音寺」とも呼ばれ、正式には「浄海山圓龍院観音寺」という名称です。地元では「荒子の観音さん」として親しまれ、尾張四観音の一つとして知られています。本尊は聖観音(しょうかんのん)で、33年に一度のみ開扉される秘仏です。
寺の伝説によれば、天平元年(729年)に泰澄によって創建され、天平13年(741年)に泰澄の弟子である僧・自性によって堂宇が整えられたとされています。泰澄は加賀(現在の石川県)の白山を開いた伝説的人物として知られていますが、この伝承がどの程度史実に基づくものかは不明です。
当初は現在地の西側、中川区高畑町にありましたが、興廃を繰り返した後、現在の場所に落ち着きました。
荒子観音寺には、日本全国で確認されている円空仏約5,374体のうち、1,255体が現存しています。この数は全国の約4分の1に相当し、荒子観音寺は円空仏の研究において極めて重要な場所とされています。円空は延宝4年(1676年)に荒子観音寺に滞在し、この時期に多くの仏像を制作したと考えられています。
また、1972年には六角堂の木箱から1,024体の千面菩薩像が発見されました。これらの像は2018年の調査で1,005体と確認され、制作に用いられた檜の材木も特定されています。
荒子観音寺の円空仏は、毎月第2土曜日の午後1時から4時まで公開されます。また、公開日には境内で円空仏を彫る体験教室が開催され、多くの人々が参加しています。
荒子観音寺の多宝塔は国の重要文化財に指定されています。また、山門とともに名古屋市の都市景観重要建築物等にも選定されています。
多宝塔は、前述の通り国の重要文化財であり、寺の歴史と文化を伝える貴重な建造物です。また、山門の風格ある姿は、訪れる人々に深い印象を与えています。