長楽寺は、愛知県名古屋市南区に位置する曹洞宗の寺院であり、山号は「稲荷山」です。歴史あるこの寺院は、長い年月を経て地域の信仰や文化を支えてきました。
長楽寺の創建は、弘仁12年(821年)に遡ります。伝えによると、弘法大師(空海)がこの地を巡礼した際、夢のお告げを受けて呼続の浜に七堂伽藍を建立し、真言宗戸部道場「寛蔵寺」と名付けました。その際、鎮守神として「清水叱枳尼眞天」を祀りました。この清水叱枳尼眞天は現在も清水稲荷殿に祀られています。
その後、寺院は一山十二坊を有する大寺院へと成長しましたが、文明年間(1470年頃)に寺勢が衰退。義山禅師が再興し、宗派を曹洞宗に改宗。永正5年(1508年)には今川氏が諸堂を再建し、明谷禅師により「長楽寺」と改められました。
さらに、慶長8年(1603年)には清洲城主松平忠吉が病気平癒を祈願し回復。その御礼として慶長11年(1606年)に書院や客殿などを寄進しました。この時、境内にあった素盞鳴尊を祀る祠を移し、隣接する「富部神社」としたと伝えられています。
長楽寺の本尊である立木観世音菩薩は、1798年(寛政10年)に当時の住職・智海和尚が境内の松の木の下に観音石像を安置したことが起源です。その後、松が枯れかけた際に弘法大師の夢告を受けて、立木のまま十一面観世音菩薩の尊像を彫刻しました。
この尊像は現在、尾張三十三観音・東海百観音の第四番霊場として厚い信仰を集めています。立木観音堂は2009年(平成21年)に再建され、脇像として馬頭観世音菩薩や熱湯観世音菩薩が配置されています。
長楽寺の鎮守神として弘法大師が祀った「清水叱枳尼眞天」は、現在も清水稲荷殿に安置されています。この神は豊川稲荷と同じ神様であり、地域住民から厚い信仰を受けています。毎年2月3日には厄除祈祷会が行われ、家内安全や商売繁盛などが祈願されます。
長楽寺の境内には、盲導犬たちの慰霊碑があり、名犬「サーブ号」もここに眠っています。サーブ号は、主人を守るために片足を失いながらも献身的に働き、アメリカのテキサス州から名誉州犬の称号を受けました。また、当時の内閣総理大臣中曽根康弘氏から功労賞も授与されています。
この慰霊碑は、福祉の大切さを思い起こさせる象徴として、毎年春と秋のお彼岸に供養祭が行われています。
長楽寺は名古屋市南区に位置しており、公共交通機関や車でのアクセスが便利です。歴史と信仰に触れたい方にはぜひ一度訪れていただきたい寺院です。