円通寺(圓通寺)は、愛知県名古屋市熱田区神宮に位置する曹洞宗の寺院です。山号は補陀山(ほださん)で、本尊は釈迦如来です。
円通寺は、かつて静岡県の普済寺の末寺であり、地域の人々に「秋葉山円通寺」の名でも親しまれていました。
円通寺の始まりは、尾張国の豪族・尾張氏が熱田社の神宮寺として建立したことにあります。弘仁年間(810年 - 824年)には、空海がこの地を訪れ、自ら彫った十一面観音像を安置したと伝えられています。
その後、田島氏が伽藍を建立し、誓海義本(大明禅師・普済寺二世)を開山として松露山圓通寺が開かれました。その後、山号は補陀山に改められました。
宝暦7年(1757年)には伽藍の大造営が行われましたが、1891年(明治24年)の濃尾地震で全て倒壊しました。その後、1907年(明治40年)に再建されたものの、1945年(昭和20年)の名古屋大空襲で焼失しました。戦後に再建された現在の本堂や秋葉本殿は、当時の人々の努力の結晶です。
かつては1,700坪の寺域を持ち、縁日や毎月1日と15日には見世物小屋やからくり小屋が出るなど、多くの人々で賑わいました。
この地には、秋葉三尺坊が僧の姿で修行を行い、永享年間(1429年 - 1441年)に鎮防火燭の秘法を得たという伝承があります。これにより、秋葉三尺坊大権現や羽休の秋葉などの名前でも呼ばれるようになりました。
毎年12月16日には、火渡り神事が行われます。境内に4間(約7メートル)四方の大護摩を焚き、火防守護や福徳延命を祈願して、修験者や信者が裸足で火の上を渡ります。この行事には毎年多くの参拝者が訪れ、勇壮な光景を目にすることができます。
弘法大師自らが彫ったと伝わる十一面観音像は、寺の本尊として大切に祀られています。
大明禅師が作成した秋葉三尺坊像や、秋葉三尺坊が自ら刻んだとされる像も寺宝として残されています。
円通寺はその歴史の深さや地域文化との結びつきで、多くの参拝者を魅了する寺院です。火渡り神事や寺宝の数々は、訪れる人々に感動を与えます。名古屋を訪れる際には、ぜひ足を運んでみてください。