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藤前干潟

(ふじまえ ひがた)

藤前干潟は、愛知県名古屋市港区と海部郡飛島村にまたがるラムサール条約登録地の干潟です。この干潟は、名古屋港の西南部に位置し、庄内川、新川、日光川の河口が合流する地域に広がっています。伊勢湾に残る数少ない大規模干潟として、多様な生態系と渡り鳥の飛来地として注目されています。

藤前干潟の生物

藤前干潟は、東アジアで繁殖するシギ類やチドリ類が旅鳥として飛来する重要な中継地です。また、カモ類やミサゴなどの猛禽類、アオサギ、カルガモなどの水鳥が年間を通じて観察できます。これまでに172種以上の鳥類が確認されており、干潟の生態系の豊かさを物語っています。

底生動物では、ゴカイ、貝、カニなどの底生動物が174種ほど確認されています。これらは干潟の水質浄化に寄与するだけでなく、渡り鳥の重要な餌資源として機能しています。

藤前干潟の鳥類

藤前干潟は、東アジアで繁殖したシギ類やチドリ類が春と秋に旅鳥として飛来する重要な中継地です。これらの鳥たちは干潟で採餌と休息を行い、その後オーストラリアやニュージーランドに渡って越冬します。「ダイゼンの越冬群」と「ハマシギの越冬群」は、愛知県のレッドリストで地域個体群として指定されています。

主な鳥類の種類

藤前干潟では、以下のような鳥類が観察されています:

旅鳥:

アオアシシギ、オグロシギ、ダイシャクシギ、ダイゼン、トウネン

夏鳥:

コアジサシ、ササゴイ、チュウシャクシギ

冬鳥:

コガモ、ズグロカモメ、スズガモ、ハマシギ

留鳥:

アオサギ、カルガモ、カワウ、ミサゴ

その他にも、カラフトアオアシシギ、サンカノゴイ、ツクシガモなどが観察されています。

渡り鳥の飛来調査

環境省による調査では、毎年60種ほどの水鳥が確認されています。特にスズガモやオナガガモなどのカモ類が10月から3月にかけて約1万羽、ハマシギが10月から5月にかけて約3000羽飛来します。また、藤前干潟の周辺には稲永公園などの緑地があり、水鳥以外にも多くの野鳥が観察可能です。

底生動物

藤前干潟では、ゴカイ、貝、カニなどの底生生物が約174種確認されています。これらの生物は渡り鳥の餌となるほか、河口域の水質浄化にも貢献しています。

底生動物の種類

貝類:

カワザンショウガイ、シロスジフジツボ、フトヘナタリ、ソトオリガイ、ヤマトシジミ

甲殻類:

アナジャコ、クロベンケイガニ、コメツキガニ、チゴガニ、ヤマトオサガニ、ユビナガホンヤドカリ

魚類:

ウナギ、トビハゼ、ボラ、エドハゼ

哺乳類

藤前干潟は、現存する国内の干潟では珍しい鯨類であるスナメリが生息していることでも注目されています。

概要

藤前干潟は、総面積約323ヘクタール(ha)の広大な干潟で、潮位が名古屋港基準面で70センチメートル以下になるとその姿を現します。この地域はシギ・チドリ類やカモ類など、多くの渡り鳥が飛来する重要な中継地となっており、生態学的にも非常に重要な場所です。

藤前干潟は、かつてゴミの埋め立て予定地として計画されていましたが、住民や環境団体の強い反対運動により計画が撤回されました。その後、保全活動が進み、2002年には国指定鳥獣保護区に指定され、ラムサール条約にも登録されました。

干潟の保全と国際的なつながり

2007年、名古屋市はオーストラリアのジロング市と湿地提携を結び、湿地映像の相互配信を開始しました。このような国際的な協力は、干潟の保全と持続可能な利用を促進するための重要な取り組みです。

歴史

1950年代以前、伊勢湾最奥部には広大な干潟が広がっていましたが、港湾開発や工場用地造成により多くが消滅しました。藤前干潟もその一部を埋め立てる計画が進められましたが、環境庁(現:環境省)や市民団体の反対により最終的に撤回されました。この出来事は、干潟の重要性が社会的に認識される契機となりました。

年表

以下は、藤前干潟に関連する主要な出来事の年表です。

関連施設とアクセス

関連施設

藤前干潟エリアには藤前活動センターや稲永ビジターセンターがあり、自然保護活動や観察会が行われています。また、稲永公園内には野鳥観察館が設置されており、干潟の生態系を学ぶことができます。

交通アクセス

藤前干潟はその多様な生物が織りなす自然の豊かさから、観光地としてだけでなく環境保護の観点からも重要な役割を果たしています。訪れる際には自然環境を大切にしながら、この美しい干潟の魅力をぜひ体感してみてください。

Information

名称
藤前干潟
(ふじまえ ひがた)

名古屋

愛知県