地蔵院は、愛知県名古屋市南区呼続に位置する真言宗醍醐派の寺院です。山号は「海底山(かいていざん)」で、本尊は地蔵菩薩です。古くから地域の人々に親しまれ、特に「湯浴み地蔵(ゆあみじぞう)」として広く信仰されています。
地蔵院の創建は、尾張藩が編纂した『寛文村々覚書』によると弘長2年(1262年)と伝えられています。一方で、『尾張名所図会』によれば元久2年(1205年)に北井戸田村の海中から地蔵菩薩像が引き上げられたことが始まりとされています。この地蔵菩薩像は、正応5年(1292年)に戸部村に移され、長い間信仰されていましたが、火災により堂宇が焼失。慶長5年(1600年)に現在の山崎村へ移されました。
地蔵菩薩像が発見された際、どこからともなく一人の老爺が現れ、香湯で像を洗い清めました。そして「この像に祈願する際には湯を灌いで報恩するように」と人々に伝え、その後姿を消したと言い伝えられています。この出来事から、湯をかけて祈願する「湯浴み地蔵」として信仰されるようになりました。
地蔵院の地蔵菩薩像は、この地方では珍しい鋳鉄製で、大型の坐像としても特筆されます。高さ2.3メートルにも及ぶこの像は、鎌倉時代から室町時代の作品と考えられています。『尾張名所図会』には、この像の高さを「5尺」と記載されています。現存する頭部の寸法は白毫の周囲で110センチ、頭頂から顎先までが60センチ、顔の幅が約35センチとされています。
地蔵菩薩像は、長い歴史の中で幾度となく災害の被害を受けました。特に、太平洋戦争の戦災と伊勢湾台風による被害で頭部と両手以外の部分が失われました。その後、コンクリート製の胴体によって坐像としての姿が復元され、現在でも多くの参拝者を迎えています。
東海道と鎌倉街道が交差する場所に位置する地蔵院は、第三番札所としても知られています。湯浴み地蔵をはじめ、歴史的価値のある建造物や静寂な境内は、訪れる人々に安らぎを与えます。
「湯浴み地蔵」として知られる地蔵菩薩像は、鎌倉時代に鋳造されたと伝えられる貴重な鉄製の仏像です。かつて、海中から引き上げられた際にお湯で清められたという由来からこの名が付けられました。現在も祈願の際に湯をかける風習が続いています。
名鉄「桜駅」より徒歩10分。
駐車場は2~3台分が用意されています。
地蔵院は、長い歴史と伝説を持つ由緒ある寺院であり、地元の人々だけでなく観光客にも親しまれています。その魅力に触れるため、ぜひ一度訪れてみてください。