相生山は、愛知県名古屋市天白区天白町大字野並に位置する標高60メートルの低山です。この山は尾張丘陵の一部であり、鳴子丘陵の先端に広がっています。「相生」という名称は古今集や謡曲に見られる『住の江の松は相生』に由来し、かつてこの地に広がっていた松林を象徴しています。
相生山は3つの台地と2つの谷筋から成り立つ起伏に富んだ地形で、広大な雑木林が広がっています。谷と台地の間には高低差が約50メートルある箇所もあり、自然のままの景観を保っています。「オアシスの森」と呼ばれるエリアには整備された散策コースがあり、訪れる人々を魅了しています。
鳴子丘陵は瀬戸層群矢田川累層や八事層・唐山層から成り、八事層にはカオリン鉱物を含む粘土層が見られます。これにより相生山は全国的にも珍しい赤黄色土壌を持ち、風化した粘土層が西日に映える美しい景観を形成していました。
相生山は1940年、防空緑地として都市計画されました。1995年からオアシスの森づくり事業が進められ、1998年には相生山緑地オアシスの森が開園しました。その後、幾度かの都市計画を経て現在に至ります。
相生山ではタヌキやキジ、さまざまな野鳥が観察できます。また、2001年頃までは準絶滅危惧種のオオタカの営巣が確認されていました。
カブトムシやクワガタムシ、ヒメボタルなどが生息しており、特に初夏にはホタル観賞を目的に多くの人々が訪れます。ヒメボタルの生息地は貴重で、そのエサとなる準絶滅危惧種のウメムラシタラガイも見られます。
梅、山桜、コナラ、クヌギ、紅葉など多様な植物が自生しています。また、ヤマツツジやコクラン、ドクダミなどの草花も豊富です。
相生山には第二次世界大戦中に米軍が投下した爆弾の跡が残っています。これらの穴は天白村誌にも記録されており、戦争の記憶を今に伝えています。
1927年に愛知県下の新十名所として相生山が選ばれ、その記念として葉書塔が設立されました。現在も保存活動が行われており、毎年徳林寺で法要が営まれています。
最寄り駅は名古屋市営地下鉄桜通線の野並駅や鳴子北駅で、それぞれ徒歩10分程度で到着します。
名古屋市営バスの「野並二丁目」や「北沢」停留所からもアクセス可能です。
東海通や愛知県道59号線を利用して車で訪れることもできます。
相生山は豊かな自然と歴史的遺産を併せ持つ貴重な場所です。都市計画の歴史や自然保護の取り組み、そして戦争の記憶を語り継ぐ地として、多くの人々に親しまれています。ぜひ訪れてその魅力を体感してください。