あかだ・くつわは、愛知県津島市にある津島神社周辺で製造・販売される伝統的な和菓子です。2つは別々の菓子ですが、津島市の歴史的遺産として「あかだ・くつわ」という名称でまとめて紹介されることもあります。現在では津島神社東鳥居前に並ぶ3つの店舗がこの菓子を製造しています。
現在、津島神社東鳥居前には以下の3つの老舗店舗が並び、それぞれが伝統の味を守り続けています。
これらの店舗では、長い歴史を誇る「あかだ」と「くつわ」を製造・販売し、多くの参拝者や観光客に親しまれています。
あかだは、米の粉を熱湯で練って球状にし、菜種油で揚げた非常に硬い和菓子です。その硬さから「日本一硬いお菓子」とも言われています。長く噛みしめることで、素朴な米の風味が広がります。
「あかだ」の名称については、以下の2つの説があります。
あかだの起源には諸説ありますが、広く知られるのは平安時代の説です。唐から帰国した空海(弘法大師)が全国を巡る途中、津島神社を訪れた際、疫病に苦しむ人々のために、唐で学んだ薬の製法を活かして米団子の油揚げを作り神前に供えたところ、疫病が治まったと伝えられています。
この故事に由来し、あかだは「食べることで厄病を払い、邪気を退ける」と考えられる神饌菓(しんせんがし)として、津島神社の参拝者に広く親しまれてきました。
かつては薬品のように扱われ、病人に与えられることもあったと言われています。また、太平洋戦争後の食糧難時代には、栄養補給のための代用食として重宝された歴史もあります。
くつわは、もち米とうるち米を合わせた粉を熱湯で練り、蒸した生地に砂糖と黒ゴマを加えてこより状にし、二重の輪にしてごま油で揚げた和菓子です。あかだに比べると、やや柔らかく、甘みとゴマの風味が特徴的です。
「くつわ」は、形が神馬の轡(くつわ=馬の口に装着する金具)に似ていたことから名付けられました。
くつわの起源は江戸時代末期の天保11年(1840年)頃とされています。一説には、尾張藩主・徳川宗春が江戸幕府の倹約令に反し、庶民の産業文化を奨励したことで生まれたとも伝えられています。
また、津島神社で行われる神事「茅の輪くぐり」で使用される茅の輪を模して作られたとも言われています。このことから、くつわもまた神饌菓として津島神社に深く関わる菓子となりました。
あかだ・くつわは、津島神社と深い歴史的関わりを持つ伝統菓子です。その由来には空海や津島の祭礼が関わり、長い年月を経て現在まで受け継がれてきました。
参拝の記念として、または津島の文化を感じる味覚として、ぜひ津島神社の東鳥居前の老舗店を訪れ、伝統の味を堪能してみてください。