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羽豆神社の社叢

(はず じんじゃ しゃそう)

羽豆神社の社叢は、愛知県知多郡南知多町師崎にある羽豆神社の境内に広がる美しい鎮守の森で、国の天然記念物に指定されています。知多半島の最南端に位置し、自然の豊かさを色濃く残すこの森は、長い年月をかけて守られてきた貴重な生態系を持っています。

羽豆神社の社叢の特徴

この社叢は、暖地性の常緑広葉樹であるウバメガシ(姥目樫)を主体とした照葉樹林です。羽豆神社の境内にあるため、長い間、樹木の伐採が禁じられており、ほぼ原生林に近い状態が保たれています。他の海岸地域では人為的な影響を受けた落葉樹林に遷移している場合が多いですが、この社叢は自然のままの植生が残っており、非常に貴重な存在です。

その自然環境の価値が認められ、1934年(昭和9年)1月22日に国の天然記念物に指定されました。

社叢の地理と環境

羽豆神社の社叢は、知多半島の先端に位置する羽豆岬の小高い丘の上に広がっています。指定された範囲は12,980平方メートルにも及びます。

この地域の地質は、比較的柔らかい第三紀層の頁岩(けつがん)でできており、かつては海食による侵食が進んでいました。現在は消波ブロックによる護岸工事が施されているものの、海に面した東・西・南の三方が断崖に囲まれた海岸段丘のような地形を形成しています。

羽豆神社の社叢と植生

羽豆神社の社叢は、三河湾から伊勢湾沿岸の自然植生をそのまま残しており、以下のような特徴的な植生が見られます。

これらの樹木が自然のままの環境を保っていることから、羽豆神社の社叢は東海地方の原生的な植生を知る上で非常に重要な場所となっています。

ウバメガシのトンネル

社叢内には遊歩道が整備されており、その道沿いに生い茂るウバメガシが独特の景観を作り出しています。特に、強い海風の影響を受け続けた樹木が一定方向へ傾く「風衝樹形(ふうしょうじゅけい)」を形成しており、遊歩道の上を覆うように枝葉が広がることから、「ウバメガシのトンネル」とも呼ばれています。

伊勢湾台風と社叢の復興

1959年(昭和34年)9月26日、伊勢湾台風が東海地方を襲い、羽豆神社の社叢も甚大な被害を受けました。特にウバメガシの大木は強風で倒れ、多くの樹木が失われてしまいました。

しかし、その後の自然再生により、現在ではウバメガシを中心とする暖地性常緑樹林が見事に回復。特にウバメガシは2メートルから4メートルの高さに成長し、密生した林を形成するようになっています。この再生の過程は、自然の持つ回復力の強さを示す貴重な事例となっています。

羽豆神社の社叢へのアクセス

公共交通機関を利用する場合

車を利用する場合

まとめ

羽豆神社の社叢は、知多半島の最南端に位置する貴重な自然環境を持つ鎮守の森です。ウバメガシを中心とした豊かな植生が広がり、海風の影響を受けながらも独自の景観を形成しています。1934年に国の天然記念物に指定されて以来、その価値は今も変わることなく、多くの人々に愛され続けています。

知多半島を訪れた際には、ぜひ羽豆神社の社叢を散策し、自然の美しさと歴史の重みを感じてみてはいかがでしょうか。

Information

名称
羽豆神社の社叢
(はず じんじゃ しゃそう)

知多半島・常滑

愛知県