斉年寺は、愛知県常滑市大野町に位置する歴史ある曹洞宗の仏教寺院です。正式名称は萬松山斉年寺と称し、その山号「萬松山」にも由緒深い意味が込められています。本尊として祀られているのは華厳釈迦牟尼仏で、さらに十一面観音も安置されています。この寺院は、四国直伝弘法八十八ヶ所霊場の第72番札所、また尾張三十三箇所の第9番札所としても知られており、多くの参拝者が訪れる霊場となっています。
斉年寺は、地元の名家である佐治氏の菩提寺でもあります。歴史の重みと美しい境内が調和したこの寺は、訪れる人々に静けさと癒しを提供してくれます。
斉年寺の創建は享禄4年(1531年)に遡ります。この寺は、当時の大野城主であった佐治為貞によって、父である佐治宗貞の菩提を弔うために建立されました。寺名は宗貞の法名「斉年寿山」から名付けられ、開基も宗貞とされています。
当初、寺院は大野城の城内に建てられましたが、天正15年(1587年)に城が焼失したことにより、翌年の天正16年(1588年)に家臣である粟津九良兵衛が現在の地に諸堂を再建しました。この移転により、斉年寺は大野の地に新たな歴史を刻むことになります。
その後も斉年寺は多くの困難に直面しました。文久3年(1863年)の冬には火災によって本堂が焼失し、仮の本堂や庫裏が建てられました。さらに、1945年(昭和20年)の三河地震によって仮の本堂が倒壊し、現在の鉄筋コンクリート造の本堂が1965年(昭和40年)に再建されました。
創建当初は大野城内にあった斉年寺は、大野城の落城後に現在の場所に移転されました。その後も寺院は地域の信仰の中心として発展を続け、山門や総門を備える立派な寺院へと成長しました。現代でも斉年寺は地域の人々に親しまれ、訪れる人々に深い安らぎと歴史の重みを感じさせています。
斉年寺は、貴重な文化財を多く所有しており、その中でも特に有名なのが雪舟によって描かれた『慧可断臂図(えかだんぴず)』です。この作品は国宝に指定されており、禅の二祖である慧可が、師である達磨に対して求道の誠意を示すために自らの腕を断つという逸話を題材にしています。
この作品は明応5年(1496年)に雪舟が77歳のときに描いたもので、彼の最高傑作の一つと称されています。現在は京都国立博物館に寄託されていますが、斉年寺の本堂内でも精巧な複製を拝観することができます。
また、斉年寺には常滑市指定文化財として、以下の貴重な仏像や美術品が所蔵されています。
斉年寺には雪舟にまつわる興味深い逸話も残されています。ある画家が雪舟の『慧可断臂図』を模写しようと試みた際、何枚も模写を繰り返した結果、どれが本物か分からなくなってしまいました。その時、なんと中の一枚が「まばたき」を始めたという伝説が語り継がれています。この逸話は、雪舟の技量と作品の魂の深さを物語るものとして、多くの人々に感銘を与えています。
斉年寺は、単なる歴史的建築物としてだけでなく、精神的な癒しの場としても多くの人々に愛されています。美しい庭園や堂々とした建物群、そして禅の精神を感じる静謐な空気が、訪れる人々に安らぎを与えてくれます。
特に、国宝『慧可断臂図』の拝観は、斉年寺を訪れる際の大きな魅力の一つです。この歴史と芸術が融合した空間で、深い静寂と美しさを体感してみてはいかがでしょうか。
歴史と文化の宝庫である斉年寺は、常滑市を訪れる際にぜひ立ち寄りたい名所です。その荘厳な佇まいと、数々の文化財は、訪れるすべての人々に深い感動を与えてくれることでしょう。