篠島は、愛知県知多郡南知多町に属し、三河湾に浮かぶ美しい離島です。全域が三河湾国定公園に指定されており、その豊かな自然と歴史的な背景から多くの観光客に親しまれています。
日間賀島・佐久島とともに「三河湾三島」または「愛知三島」と呼ばれています。新鮮な海産物が豊富で、特にシラスやフグが有名です。篠島は、古くから伊勢神宮との関わりが深く、三節祭では干鯛(御幣鯛)を神饌として奉納する伝統が続いています。
篠島は、釣りを楽しむのにも最適な環境が整っています。「篠島釣り天国」では、鯛やハマチ、アジなどの魚が放流されており、初心者からベテランまで楽しめる釣りスポットです。また、磯釣りや沖釣りでも、メジナやヒラメ、大鯛などの大物を狙うことができます。
篠島には、美しい弓形の白砂の浜が広がっています。800メートルにわたる天然の砂浜は、遠浅で波も穏やか。小さな子ども連れの家族でも安心して楽しめます。また、春や秋には地引き網体験も行われ、家族で貴重な海の体験ができます。
篠島の西側には、手つかずの自然が残る絶景スポットが点在しています。入り江ごとに小さな砂浜があり、透明度の高い海が広がる景観は、訪れた人々を魅了します。特に夕暮れ時の景色は、東海地方屈指の美しさを誇ります。
篠島は、知る人ぞ知るふぐの名産地です。一般的に「ふぐ」といえば下関が有名ですが、篠島で水揚げされるとらふぐも負けていません。愛知県は、平成14年には全国トップのとらふぐ水揚げ量を誇り、山口県と並ぶ産地として広く認知されています。
篠島漁港では、新鮮なとらふぐが水揚げされ、入札が行われます。ここで競り落とされたふぐは、島内外の料亭や旅館で提供され、多くの観光客を魅了しています。篠島を訪れた際は、ぜひこの極上のふぐ料理をご堪能ください。
篠島は、古くから伊勢神宮と深い関わりを持つ島です。『日本書紀』によると、伊勢神宮を建立した天皇が伊勢湾を旅する際、篠島に立ち寄り、地元の鯛を大変気に入ったとされています。この出来事をきっかけに、篠島では千年以上にわたり、毎年3回「おんべ鯛」と呼ばれる塩漬けの鯛を伊勢神宮へ献上する風習が続いています。
毎年10月12日には、「おんべ鯛奉納祭」が開催されます。白装束を身にまとった神職が、島で採れた鯛を献上する神聖な儀式が行われ、伝統文化を肌で感じることができます。
篠島には、「明日葉(アシタバ)」と呼ばれる薬草が自生しています。明日葉は「今日摘んでも明日には新しい葉が生えてくる」と言われるほど成長が早く、健康に良い成分が豊富に含まれています。伊豆の八丈島と並ぶ希少な産地としても知られ、島内では料理の食材やお土産として販売されています。
篠島には、伊勢神宮とのつながりを持つ神明神社と、造船や海上守護の神を祀る八王子社があります。
毎年1月3日・4日に行われる伝統行事で、八王子社に祀られる男性神オジンジキサマが、神明神社の女性神の元へ向かう神事です。
7月第2土曜日・日曜日には、大漁祈願と海上安全祈願の祭りが行われます。
篠島では、伊勢神宮に干鯛(御幣鯛)を奉納する伝統があり、毎年6月・10月・12月の3回行われます。
篠島は、知多半島の師崎と渥美半島の伊良湖岬を結ぶ線上に位置し、三河湾三島の中で最も沖合にあります。北には日間賀島(南知多町)が約3km、北東には佐久島(西尾市)が約7kmの距離にあり、本土との最短距離は約3kmです。
篠島と日間賀島の間には構造線が走っているため、篠島の地質は三河湾三島の中で唯一異なります。領家帯花崗岩で構成され、三河湾の平均水深約9.2mの浅い海域の中に、水深約40mの深みがあるのも特徴です。
島の中央部には最高標高49.1mの丘陵地帯があり、三河湾三島の中で最も高い地点となっています。東岸には「さんさんビーチ」と呼ばれる天然の渚があり、約800mにわたって美しい砂浜が続いています。
篠島周辺には、木島、大磯島、築見島、野島、松島、戸亀島、平島などの属島が点在しており、その風光明媚な景観から「東海の松島」と呼ばれています。
特に本島から西方の松島を望む景色は「日本の夕陽百選」に選ばれており、夕暮れ時には幻想的な光景が広がります。
現在、9つの無人島が篠島の属島として存在していますが、埋立工事により小磯島と中手島は本島と陸続きになりました。中手島には、おんべ鯛(御幣鯛)の調製所があり、伊勢神宮によって所有・管理されています。
篠島は温暖な気候に恵まれており、年間平均気温は約16℃です。冬季には強い季節風が吹くことがありますが、降雪はほとんどなく、結氷や降霜も少ないため、年間を通じて過ごしやすい環境です。
篠島には縄文時代後期の貝塚や弥生時代の遺跡が発見されており、古くから人々が暮らしていたことが分かります。また、『万葉集』には篠島を詠んだ歌が残されており、その歴史の古さを物語っています。
奈良時代には、篠島は三河国幡豆郡に属し、伊勢神宮への供物としてサメやタイなどの楚割(魚介類の保存食)を献上していた記録があります。
江戸時代、篠島は尾張藩の流刑地としても知られ、数十人が流刑されていました。また、篠島の漁師たちは漁業だけでなく海運業にも携わり、経済的にも重要な役割を果たしていました。
1933年(昭和8年)には篠島港が完成し、1934年(昭和9年)には海底電話が敷設されるなど、近代的なインフラの整備が進みました。
篠島の経済は水産業と観光業を中心に成り立っています。特に漁業が盛んで、ノリやアワビ、ワカメなどの養殖業も発展しています。
篠島のシラス漁は愛知県内でも特に有名で、年間の漁獲量は多い年で約5,000トンにもなります。
篠島は、近年フグの産地としても認知度が高まっています。2001年から2003年にかけて、愛知県はトラフグの漁獲量で全国トップとなったこともありました。
篠島漁港周辺には造船所が3軒あり、篠島で造られた船には唐草模様が描かれるのが特徴です。
篠島には美しい砂浜が広がるサンサンビーチがあり、夏には多くの海水浴客でにぎわいます。
篠島は釣りの名所としても人気があり、2011年の観光客数約20万7千人のうち、約9万6千人が釣りを目的に訪れていました。
篠島へは、名鉄海上観光船が運航する高速船やカーフェリーを利用してアクセスできます。知多半島や渥美半島と結ばれ、利便性の高い交通網が整っています。名古屋から約1時間の距離にあり、多くの観光客に親しまれています。
師崎港から篠島港までは高速船で約10分、河和港からは約30分で到着します。カーフェリーを利用する場合、師崎港から篠島港までは約20分の船旅となります。
篠島の道路はすべて南知多町道であり、道路舗装率は83.5%と比較的高い水準にあります。ただし、外周道路以外は幅が狭く、四輪車の通行は禁止されています。島内には定期バス路線はありませんが、三河湾の離島の中では唯一、乗合タクシーが運行されています。
篠島は、美しい自然と歴史的な背景を持つ魅力的な離島です。透明度の高い海、夕陽の名所、伊勢神宮との深い関わり、豊かな漁場など、多くの見どころが詰まっています。
都会の喧騒を離れ、のんびりとした時間を過ごすには最適な場所です。歴史を感じながら、篠島の美しい風景を楽しんでみてはいかがでしょうか。