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やきもの散歩道

陶磁器文化を巡る観光コース

愛知県常滑市に位置するやきもの散歩道は、地場産業である陶磁器をテーマとした散策ルートです。常滑市は、日本六古窯のひとつに数えられる「常滑焼」の産地として知られており、日本一の招き猫の生産地としても有名です。このコースは、1972年頃から自然発生的に形成され、常滑市の歴史と文化、そして伝統工芸を身近に感じられる散策路として、多くの観光客に親しまれています。

歴史と魅力あふれる街並み

やきもの散歩道は、栄町の丘陵地を中心に展開しており、全長はおよそ1.5kmにわたります。このエリアは、かつての生活道路がそのまま残されており、狭く曲がりくねった道や起伏のある小道が続く、風情ある景観が魅力です。登窯煉瓦煙突、黒い板壁が印象的なコールタール塗りの工場跡など、昭和中期以前に建設された歴史的な建築物が数多く点在し、当時の面影を今に伝えています。

この街並みは、開発が進まなかったことで、古き良き風景がそのまま保存されています。特に、住民たちが訪れる人々に楽しんでもらおうと工夫した土管坂は、土管や瓶を壁に埋め込んだユニークな坂道として人気のスポットです。また、映画『20世紀少年』のロケ地としても知られ、近年は空き家をリノベーションしたカフェや土産物店が立ち並び、新たな魅力を放っています。

2007年(平成19年)には、「美しい日本の歴史的風土準100選」に選定され、アニメ映画『泣きたい私は猫をかぶる』の舞台にもなったことで、さらに注目を集める観光地となりました。

やきもの散歩道の見どころ

朱泥焼と常滑焼の魅力

常滑市は、特に朱泥焼の急須で名を馳せています。朱泥焼は、その独特の朱色と艶やかな仕上がりで知られ、特にお茶の味をまろやかにすると言われています。昭和初期には、急須や茶碗、甕(かめ)、焼酎瓶、土管、レンガ、タイルなど、多様な陶器製品が生産され、日本の産業発展に大きく寄与しました。

現在も多くの作家や職人が住み、独自の焼き物を制作しており、訪れる人々を魅了し続けています。歴史的な産業遺産としての価値も高く、写真愛好家や伝統工芸に興味のある観光客にとって、見応えのあるエリアです。近年は、おしゃれなカフェやギャラリー、こだわりの雑貨店も増え、特に女性に人気のスポットとなっています。

迷路のような路地と散策コース

やきもの散歩道の散策は、常滑駅から徒歩約5~10分に位置する常滑市陶磁器会館から始まります。ここから小高い丘を歩くコースが設定されており、以下の2つのコースが用意されています。

主要観光スポット

常滑市陶磁器会館

この散歩道のスタート地点となる常滑市陶磁器会館では、常滑焼の展示即売が行われています。館内には「TOKONAMEギャラリー」も併設されており、地元作家による様々なジャンルの作品展示や、ものづくりの町としての常滑らしい作品展が開催されています。

廻船問屋 瀧田家

瀧田家は、江戸時代から明治時代にかけて廻船業を営んでいた歴史ある家屋で、常滑市指定有形文化財に指定されています。貴重な無尽灯や和船の模型、海運の歴史を伝える資料が展示されており、訪れる人々に当時の生活と商業活動の一端を伝えます。

土管坂

やきもの散歩道の象徴的存在ともいえる土管坂は、明治時代に作られた土管と昭和初期の焼酎瓶が壁面を覆い尽くし、坂道には「ケサワ」と呼ばれる焼成時に使われた廃材が敷き詰められています。歩きやすく工夫されており、写真映えするスポットとしても人気です。

登窯(陶榮窯)

登窯は、1887年(明治20年)頃に築かれ、1974年(昭和49年)まで使用されていた日本最大級の現存する登窯です。傾斜角約17度、8つの焼成窯、10本の煙突が特徴で、1982年に国の重要有形民俗文化財に指定され、2007年には近代化産業遺産としても認定されました。

見守り猫「とこにゃん」

常滑市は招き猫生産日本一として知られています。「とこにゃん」は、そのシンボルともいえる巨大な猫のオブジェで、幅6.3m、高さ3.2mという圧倒的な存在感を誇ります。「招き猫通り」では、39体の御利益陶製招き猫が並び、それぞれが異なるご利益を持っています。とこにゃんは、名鉄常滑駅ホームからも眺めることができ、訪れる人々を温かく見守っています。

登窯広場 展示工房館

1997年にオープンした施設で、窯の見学や絵付け体験が楽しめます。特に「両面焚倒焔式角窯」は、1910年代に作られた珍しい形の窯で、当時の陶磁器製造の様子を感じることができます。

一木橋

やきもの散歩道の途中にある歴史的な橋で、散策中に立ち寄る絶好のスポットです。

とこなめ陶の森

旧・常滑市民俗資料館と陶芸研究所が併設された施設で、常滑焼の研究と保存が行われています。焼き物に関する深い知識を得ることができます。

INAXライブミュージアム

陶磁器に関連した歴史や文化、技術を体験できる企業博物館です。展示だけでなく、実際に陶器作りの体験もできるため、家族連れにも人気のスポットです。

常滑西小学校陶壁

地元の小学校に設置された陶壁アートで、地域の焼き物文化を感じられるアート作品が施されています。

鯉江方寿翁陶像

常滑焼の発展に貢献した鯉江方寿翁の陶像で、その功績を称えるモニュメントです。

歴史と文化を感じる体験を

やきもの散歩道は、陶磁器の歴史と文化を深く感じることができる場所です。古き良き日本の風景と現代のクリエイティブな要素が見事に調和しており、散策するだけでなく、陶芸体験やおしゃれなカフェ巡りも楽しめます。街並みを散策しながら、常滑焼の歴史に触れ、職人たちの技に感動するひとときは、訪れる人々にとって忘れられない思い出となるでしょう。

Information

名称
やきもの散歩道

知多半島・常滑

愛知県