あま市七宝焼アートヴィレッジは、愛知県あま市にある七宝焼をテーマにした総合施設です。ここでは、七宝焼の歴史や技法を学ぶだけでなく、実際に体験し、伝統工芸の魅力に触れることができます。
この施設は、約180年の歴史を持つ「尾張七宝」を広く知ってもらうため、2004年(平成16年)4月に開館しました。2010年(平成22年)3月22日に七宝町が美和町、甚目寺町と合併し「あま市」が発足した際に、施設の名称も「七宝町七宝焼アートヴィレッジ」から現在の「七宝焼アートヴィレッジ」に改められました。
七宝焼アートヴィレッジは、大きく分けて以下の2つのエリアから構成されています。
この館内には、七宝焼の作品や道具が展示されており、七宝焼の歴史や制作工程を学ぶことができます。さらに、七宝焼生産者協同組合の職人たちが交代で実演を行い、訪問者に制作の過程を披露するほか、実際に七宝焼を作る体験教室も開催されています。
ふれあい広場には散策路が整備されており、訪れた人々がゆったりと過ごせる場所となっています。四季折々の自然を楽しみながら、七宝焼アートヴィレッジの魅力をさらに深く感じることができます。
2019年(令和元年)6月1日には、第70回全国植樹祭に伴う愛知県訪問の一環として、今上天皇・皇后が七宝焼アートヴィレッジを訪問されました。これは、同年5月1日の即位後、地方への行幸啓(ぎょうこうけい)として初めての訪問先となりました。この歴史的な出来事は、施設の価値をさらに高めるものとなっています。
七宝焼アートヴィレッジへのアクセスは以下の通りです。
七宝(しっぽう)とは、金属の素地にガラス質の釉薬を焼きつける装飾技法のことで、その製品を指すこともあります。この技法は世界各地に存在し、日本では仏教用語の「七宝(しちほう)」や「七宝瑠璃」に由来すると言われています。時代や地域によって「七宝流し」、「びいどろざ」、「七宝象嵌(しっぽうぞうがん)」などさまざまな名称で呼ばれてきました。
七宝焼の中でも特に有名なのが「尾張七宝(おわりしっぽう)」です。これは、愛知県あま市および名古屋市で生産される七宝焼で、経済産業省指定の伝統工芸品(第29次指定・平成7年4月5日)となっています。また、地域団体商標としても登録されています。
尾張七宝の起源は、天保年間(1830~1844年)にさかのぼります。当時、尾張国(現在の愛知県)に住む梶常吉(かじ つねきち)が、オランダ船で輸入された七宝の皿を参考にし、独自に製造法を発見しました。その後、改良を重ね、現在の尾張七宝の技法が確立されました。
尾張七宝の大きな特徴は、銅や銀の金属素地の表面にガラス質の釉薬を施し、花鳥風月や風景などの図柄をあしらう点です。特に、「有線七宝」と呼ばれる技術では、銀線を用いて図柄の輪郭を描くことで、繊細で美しいデザインが生み出されます。
現在も、あま市の七宝地区では、七宝焼の製造が盛んに行われています。主な製品には、花瓶、額、飾り皿、宝石箱などがあり、伝統を守りながらも新しいデザインや技術が取り入れられています。
尾張七宝の伝統を受け継ぐ著名な製造者として、以下の工房が知られています。
あま市七宝焼アートヴィレッジは、日本の伝統工芸「七宝焼」を学び、体験し、楽しめる貴重な施設です。尾張七宝の歴史や技法を知ることで、その奥深い魅力に触れることができるでしょう。訪れる際は、ぜひ七宝焼の体験教室に参加し、自分だけの作品を作ってみるのもおすすめです。