實成寺は、愛知県あま市中萱津に所在する日蓮宗の寺院です。山号は「長久山」と称し、旧本山は京都の大本山本圀寺(六条門流)に属していました。莚師法縁(隆源会)に属する寺院であり、長い歴史と由緒ある建築物を有することでも知られています。
實成寺は、鎌倉時代には真言宗に属しており、当時は「十如堂」と呼ばれる護摩堂でした。このことは、国宝「鎌倉円覚寺蔵尾張國富田荘絵図」にも記録されており、そこには「大御堂」と記されています。
元応元年(1319年)、日蓮聖人の弟子である中老日妙が隠居し、この地に實成寺を創建しました。その後、明応3年(1494年)には清洲城主・織田敏定(織田信長の曾祖父)が寺領を寄進し、堂舎の再興を行いました。
現在の本堂は、明応年間(1491年〜1501年)に織田敏定によって建立されたものと伝えられています。内部の須弥壇や内陣の様式、彩色には、真言宗時代の護摩堂の面影が残されています。江戸時代前期にも大規模な改修が行われ、現在に至るまで何度も補修が施されています。
實成寺の山門は、戦国武将・福島正則によって清洲城から移築されたと伝えられており、歴史的価値が高いものです。城郭建築の影響を受けた構造を持つこの山門は、現在も訪れる人々を迎えています。
實成寺には、国の登録有形文化財として以下の建造物が指定されています。
實成寺の境内には、多くの歴史的建造物や供養施設が点在しています。
日蓮宗は、1941年(昭和16年)に本末制度を解体しましたが、かつて實成寺の末寺であった寺院の一部は現在もその名称を伝えています。
愛知県あま市中萱津南宿254
實成寺は、鎌倉時代に創建され、日蓮宗の寺院として長い歴史を持つ貴重な寺院です。特に、本堂や山門は戦国時代や江戸時代の建築様式を今に伝えており、多くの文化財が保存されています。清洲城から移築された山門をはじめ、境内には歴史的価値の高い建造物が点在し、訪れる人々に往時の面影を感じさせます。また、交通の便も良く、名古屋近郊からのアクセスも容易なため、歴史や仏教建築に興味がある方にはぜひ訪れていただきたい寺院の一つです。