万燈祭(刈谷万燈祭)は、愛知県刈谷市銀座にある秋葉神社の祭礼です。江戸時代中期から続くこの夏祭りは、火難防除と町内安全を祈願するもので、愛知県無形民俗文化財に指定されています。2018年(平成30年)には「第22回ふるさとイベント大賞」の大賞(内閣総理大臣賞)を受賞し、全国的にも注目を集めました。
万燈祭の最大の見どころは、「万燈」と呼ばれる巨大な張り紙人形をひとりで担ぎ、笛や太鼓の囃子に合わせて社前で舞うことです。万燈は、武者絵や歌舞伎絵を描いた美しい装飾が施され、夜には内部の電照が灯されて幻想的な光景を作り出します。
各町では毎年、新作の大万燈を製作します。制作は5月頃から始まり、骨組みの作成から彩色、仕上げまで丹精込めて行われます。特に色付けには炭で下絵を描いた後、蝋を引き、食紅で色をつける伝統的な技法が用いられます。
万燈祭は毎年7月の最終日曜日が本楽(ほんがく)、その前日の土曜日が新楽(しんがく)として開催されます。
午前10時に各町の総代と世話人が秋葉神社に集合し、町内で万燈を曳き回します。夕方には各町の万燈が名鉄三河線刈谷市駅前に集結し、市内を行進。東陽町商店街で「全町一斉舞」を披露した後、秋葉神社にて奉納し、解散します。
夕方17時半に全町が於大通りに集合し、市内を行進します。その後、秋葉神社で「神前舞」の奉納が行われ、19時からは大万燈の舞が披露されます。若衆たちは重さ60kgの万燈を担ぎ、囃子のリズムに合わせて見事な舞を披露します。最後に全町が一斉に舞い、祭りのクライマックスを迎えます。
万燈祭の起源には諸説ありますが、最も有力なのは1778年(安永7年)の記録です。この年、刈谷の松秀寺境内にある秋葉神社で雨乞いの祭りが行われた際、笛や太鼓による囃子と共に「万燈」が登場したとされています。
明治時代には、竹中理吉(号:竹風軒雅遊)という粋人が現代の半立体的な万燈を完成させました。彼の技術と美的感覚が、現在の華やかな万燈のスタイルへと発展させたのです。
太平洋戦争中、一時は祭礼が中断されましたが、1946年(昭和21年)に復活。昭和30年代にはさらなる発展を遂げ、多くの観客を魅了する祭りとなりました。
刈谷市の万燈祭は、豪華絢爛な万燈の舞と、地域の人々の情熱によって支えられている伝統的な祭りです。勇壮な舞や幻想的な光景は、一見の価値があります。歴史ある祭りを訪れ、その魅力を存分に体感してみてはいかがでしょうか。