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須賀神社(岡崎市)

(すが じんじゃ)

山車祭りが彩る岡崎市樫山町の歴史ある社

須賀神社は、愛知県岡崎市樫山町字宮前に鎮座する由緒ある神社で、地域の人々からは古くより信仰の中心として親しまれてきました。とりわけ毎年4月に行われる大祭では、豪華な4台の山車が町内を練り歩き、「樫山の山車祭り」として知られています。この祭礼は、岡崎市の無形民俗文化財にも指定されており、歴史・文化・人々の熱意が一体となった、見応えのある行事です。

須賀神社の創建と歩み

須賀神社の創立年は明らかではありませんが、棟札には永正10年(1513年)12月14日に再建された記録が残されており、室町時代後期にはすでに社殿が整えられていたと考えられています。長い年月の中で、幾度も修復や整備を重ねながら、地域の信仰を支えてきました。

明治時代に入ると、1872年(明治5年)10月3日に近代社格制度のもとで村社に列格し、1907年(明治40年)には神饌幣帛料供進神社に指定されるなど、格式ある神社としての位置づけが確立されました。

また、大正時代には祭神の合祀が進められ、1913年(大正2年)に秋葉社を合祀、1918年(大正7年)には周辺地域の神々である迦具土命、猿田彦命、大物主命、宇賀御霊神などを迎え、現在の祭神構成が形づくられました。これにより、須賀神社は地域全体の守り神として、より幅広い信仰を集める存在となりました。

境内建築と見どころ

須賀神社の本殿は、虹梁や斗組の装飾様式から、18世紀中期に建てられた建物と考えられています。桁行二間、梁間一間の二間社流造で、屋根はこけら葺きという伝統的な形式を保っています。素朴ながらも力強い佇まいは、長い歴史の重みを感じさせます。

一方、拝殿と覆屋(雨覆)は、1929年(昭和4年)に棟梁・近藤實蔵によって建立されたもので、入母屋造・銅板葺きの堂々とした姿が印象的です。現在も祭礼や参拝の場として大切に使われており、神社建築の美しさを間近に感じることができます。

須賀神社大祭 ― 樫山の山車祭り

須賀神社の最大の見どころが、毎年4月に開催される須賀神社大祭です。この祭りは「樫山の山車祭り」とも呼ばれ、市の無形民俗文化財に指定されています。起源は江戸時代にさかのぼり、1875年(明治8年)に記された『祭礼記』には、当時の賑わいが詳しく記されています。

もともとは旧暦6月に行われる祇園祭でしたが、明治末期に現在の4月開催へと移行し、近年では4月第2日曜日に実施されるのが恒例となっています。春の穏やかな陽気の中で行われる祭礼は、観光客にも親しみやすく、地域の魅力を体感できる絶好の機会です。

祭りの歴史と山車の復興

かつて須賀神社には山車を保管する専用の倉庫がなく、祭礼後は解体して舞台に収められていました。しかし1893年(明治26年)の火災により舞台が焼失し、すべての山車が失われるという大きな被害を受けました。

その後、地域の人々の尽力により、1895年(明治28年)以降に現在の4台の山車が新たに築造、または購入され、祭りは見事に復活しました。この復興の歴史こそが、須賀神社大祭が今も力強く受け継がれている理由の一つです。

現在の祭礼運営と流れ

現在、氏子は6組に分かれており、2組ずつが3年交代で年番を務めます。祭りの前日には、神輿渡御の折り返し地点となる神明宮で舞台設営や餅・菓子の準備が行われ、地域全体が祭り一色に染まります。

当日は朝から幟立てが行われ、正午前には山車のお祓いを経て宮出しとなります。4台の山車、続いてお手道具や神輿が行列をなし、町内を巡行します。途中の中休み地点では、花車との合流や余興が披露され、観客を大いに楽しませます。

神明宮でのお囃子奉納「御照覧」を終えると再び須賀神社へ戻り、宮入の合図とともに号砲花火が打ち上げられ、餅投げが行われて祭りは最高潮を迎えます。

個性豊かな山車と花車

竜神山車(原組)

築造年は不詳ですが、重層構造で前山車の幅が狭く、手長足長の彫刻が施されている点が特徴です。お囃子は岡崎市芸能家元・松葉屋師匠の指導を受けた伝統的なものです。

鳳凰山車(庄野組)

1909年(明治42年)に能見神明宮大祭で使用されていた山車を購入したもので、重層構造と堂々とした姿が魅力です。

恵比寿山車(仲組)

金箔や螺鈿細工が施された華やかな山車で、恵比寿の彫刻がひときわ目を引きます。2008年には大規模な修繕が行われ、美しさが保たれています。

入船山車(新居野組)

舟形を模した独特の山車で、現在の姿は1982年に地域の協力によって新築されたものです。「新若丸」の名でも親しまれています。

花車(河瀬組・宮北市組)

桜の造花で彩られた花車は、祭りに華やかさを添える存在で、チャラボコ車の軽快な動きも見どころです。

須賀神社とその大祭は、歴史・信仰・地域文化が今なお息づく貴重な観光資源です。山車の迫力と人々の熱気を体感しながら、岡崎の奥深い魅力に触れてみてはいかがでしょうか。

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須賀神社(岡崎市)
(すが じんじゃ)

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