萬三の白モッコウバラは、愛知県半田市にある小栗家住宅の庭に植えられたモッコウバラであり、日本最古かつ最大級の枝ぶりを誇る貴重な植物です。その樹齢は150年以上と推定されており、2011年(平成23年)には半田市の天然記念物に指定されました。
モッコウバラには「初恋」「純潔」「あなたにふさわしい人」といった美しい花言葉があります。また、小栗家は日本版ロミオとジュリエットとも称される説経節『小栗判官』のモデルとなった小栗氏の末裔とされています。そのため、この白モッコウバラは愛の象徴とされ、半田市の婚姻届のデザインにも採用されています。
萬三の白モッコウバラの樹齢は150年以上と推定されており、日本国内に現存する最も古いモッコウバラの一つです。その植栽時期は、小栗家住宅が築かれた明治初期とされています。
このモッコウバラは根元で二本に分かれた太い幹を持ち、周囲約60センチメートルに及びます。その表皮は茶色で杉のような風合いがあり、幹はねじれながら成長し、さらに途中から枝分かれしています。その壮大な枝ぶりは日本一とも評され、長崎市グラバー園のモッコウバラと比べても幹の太さが約20センチメートルも上回ります。
萬三の白モッコウバラの主枝は、まるでハート型を描くような輪郭を持っており、これがフォトスポットとして非常に人気を集めています。訪れる人々にとって、愛を象徴する美しい自然の造形として親しまれています。
萬三の白モッコウバラの花から採取された酵母を活用し、日本酒やパンなどの地域特産品の開発が進められています。これにより、観光資源としての価値がさらに高まっています。
萬三の白モッコウバラは通常非公開の私有地にありますが、4月下旬から5月初旬の開花期に合わせて、毎年特別公開が行われます。2014年(平成26年)以降、この期間の土日祝日には庭園内から見学することができ、多くの観光客が訪れます。
半田市では、この特別公開の期間中に「萬三の白モッコウバラ祭」を開催しています。このイベントでは、萬三の白モッコウバラの花酵母で醸造した特別な日本酒「愛してる」や「愛してるスパークリング」が限定販売されます。
また、半田運河の周辺地域では、地域の醸造文化に親しむワークショップやマルシェが開かれ、観光客に半田市の魅力を伝えるさまざまな企画が用意されています。
2021年には、モッコウバラのハート形のつるに着想を得た「隠れハート」探しのイベントが開催されました。「蔵のまちエリア」など市内の観光スポットに隠されたハート型のモチーフを探すというユニークな企画で、多くの来場者に楽しまれました。また、地元の菓子店では、モッコウバラをモチーフにしたオリジナル商品も販売されています。
「愛してる」は、萬三の白モッコウバラの開花期に合わせて製造される日本酒です。萬三の白モッコウバラの花から採取した酵母を使用し、甘酸っぱく爽やかな飲み口のスパークリング日本酒が定番商品となっています。
小栗家は江戸時代から醸造業や海運業を営んでおり、1713年(正徳3年)には酒造りに着手しました。そして、ちょうど300年後の2013年(平成25年)、愛知県食品工業技術センターと共同で、モッコウバラの花酵母を使った新しい日本酒の開発に成功しました。「愛してる」という名前は、小栗家の先祖がモデルとなった『小栗判官』の純愛物語に由来しています。
2018年(平成30年)には、「知の拠点あいち重点研究プロジェクト」により、日本初のシンクロトロン光を用いた酵母育種技術が適用されました。これにより、萬三の白モッコウバラの花酵母をさらに改良し、芳醇な香りと味わいを持つ「愛してる 2019」が誕生しました。
「愛してる」シリーズには、以下のようなバリエーションがあります。
この「愛してる」シリーズは、「愛知のふるさと食品コンテスト」で愛知県知事賞、「優良ふるさと食品中央コンクール」では農林水産大臣賞など、数々の最優秀賞を受賞しています。
萬三の白モッコウバラは、小栗家住宅の門庭に植えられています。
JR武豊線「半田駅」から徒歩約5分でアクセスできます。