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小栗家住宅

(おぐりけ じゅうたく)

小栗家住宅は、愛知県半田市中村町一丁目に位置する、明治初期から現代に至るまで住み継がれてきた大変貴重な歴史的建造物です。半田運河の西岸という、かつて醸造業や海運業で栄えた中心地に建ち、豪商として知られた小栗家の店舗兼邸宅として整えられました。長い年月を経てもなお生活の場として大切に守られてきた点が高く評価され、2022年(令和4年)には国の重要文化財に指定されています。

半田運河とともに歩んだ小栗家

萬三商店としての発展

小栗家は、過去帳によれば江戸時代にその歴史をさかのぼることができ、屋号を萬三商店と称して商いを営んできました。江戸期には酒造りを中心に、明治時代以降は肥料商や海運業によって大きく発展し、さらに味噌・醤油の醸造へと事業を広げていきました。半田運河を行き交う船とともに、小栗家は地域経済を支える存在として知られていました。

住み継がれる文化財

多くの歴史的建造物が用途を終えて保存される中で、小栗家住宅は現在も人の暮らしが息づく文化財です。この点は全国的にも珍しく、建物が単なる展示物ではなく、生活文化そのものを今に伝える存在であることを示しています。

建築の特徴と見どころ

主屋と店舗部分

主屋は、寄棟造・桟瓦葺の屋根を持つ木造二階建てで、明治初期の町屋建築の特徴を色濃く残しています。道路に面した側は、かつて萬三商店の旧本社事務所として使用されており、重厚な格子が印象的です。その奥には広々とした居宅部分が続き、土間を介して店舗と生活空間が機能的につながっています。

格式を物語る内部空間

居宅部分の上り口正面には、二間幅の堂々たる式台が構えられ、来客を迎える場としての格式の高さを感じさせます。また、二階床を支える太い梁材や、縦縞状に筋目の入った構造材からは、当時の高度な建築技術と、豪商としての財力がうかがえます。

重要文化財指定までの歩み

2004年(平成16年)には、主屋や書院、蔵、茶室、表門などが国の登録有形文化財に登録され、歴史的価値が広く認識されるようになりました。その後、調査と評価が進み、2022年(令和4年)には主屋をはじめとする12棟が一括して国の重要文化財に指定されました。これにより、小栗家住宅は日本の近代商家建築を代表する存在として、国レベルでの保護を受けることとなりました。

萬三の白モッコウバラ

日本最古・最大級の白モッコウバラ

小栗家住宅を語るうえで欠かせないのが、門庭に咲く萬三の白モッコウバラです。樹齢は150年を超えるとされ、日本最古・最大級ともいわれています。2012年には半田市の天然記念物にも指定され、毎年4月中旬から5月初旬にかけて、可憐な白い花を一斉に咲かせます。

ハート形の幹と花言葉

この白モッコウバラの最大の特徴は、自然に湾曲した幹が描くハート形の姿です。ほんのり甘い香りと、「初恋」「純潔」「幼いころの幸せな時間」といったロマンチックな花言葉も相まって、多くの人々を魅了しています。開花時期には「萬三の白モッコウバラ祭」が開催され、特別公開された庭園を楽しむことができます。

白モッコウバラから生まれた取り組み

近年では、白モッコウバラの花酵母を用いたお酒「愛してる」シリーズの製造・販売も行われており、記念日や贈り物として人気を集めています。歴史と自然、そして現代の感性が融合した取り組みといえるでしょう。

まちづくり拠点としての新たな役割

2024年(令和6年)には、小栗家住宅内に半田市観光協会が運営する「_unga(スペース うんが)」が設置されました。ここは半田運河エリアのまちづくり拠点として、地域コミュニティの形成や、まちづくりに関わる人材の発掘・連携を目的としています。歴史的建造物を活かしながら、地域の未来を描く場として注目されています。

観光で訪れる際の楽しみ方

小栗家住宅は、通常は内部非公開のため外観見学が中心となりますが、その佇まいからは半田の繁栄の歴史と、商家文化の重みを十分に感じ取ることができます。特に白モッコウバラの開花時期は、庭園公開や祭りが行われ、訪問の好機です。周辺には半田運河や酒の文化館などの見どころも点在しており、歴史散策に最適なエリアとなっています。

交通アクセス

JR武豊線「半田駅」から徒歩約5分と、公共交通機関でのアクセスも良好です。半田運河周辺の散策とあわせて訪れることで、より深く半田の歴史と文化を味わうことができるでしょう。

Information

名称
小栗家住宅
(おぐりけ じゅうたく)

知多半島・常滑

愛知県