愛知県 > 岡崎・豊田・奥三河 > 田峯茶

田峯茶

(だみねちゃ)

山あいの霧が育む奥三河の銘茶

田峯茶は、愛知県北設楽郡設楽町田峯地区で生産されている伝統あるお茶です。奥三河の山間部に位置する田峯地区は、豊かな自然と澄んだ空気に恵まれ、古くから良質な緑茶の産地として知られてきました。近年では煎茶やほうじ茶に加え、紅茶の生産にも取り組み、地域の魅力を伝える特産品として注目を集めています。

田峯地区の自然と茶づくり

田峯地区は標高約350メートルの山間地にあり、豊川(寒狭川)から立ちのぼる霧が茶畑をやさしく包み込みます。この霧が直射日光を和らげ、昼夜の寒暖差と相まって、香り高く旨味のある茶葉を育てる理想的な環境を生み出しています。

山々に囲まれた静かな土地で、自然のリズムに寄り添いながら育てられる田峯茶は、素朴でありながら奥深い味わいを持ち、飲む人にやすらぎを与えてくれます。

緑茶の産地としての長い歴史

設楽町田峯地区は、古くから緑茶の産地として知られてきました。山城として知られる田峰城周辺にも茶畑が広がり、地域の人々の暮らしとともに茶づくりの歴史が積み重ねられてきました。

その品質の高さは高く評価され、1997年(平成9年)7月には、第31回愛知県茶品評会において、田峯茶業組合が農林水産大臣賞を受賞しています。この受賞は、田峯茶が県内外で高く評価されていることを示す大きな節目となりました。

田峯茶業組合と地域の取り組み

田峯茶の生産は、地域の生産者によって支えられています。2015年(平成27年)時点では、田峯茶業組合に33人の生産者が所属し、約3.2ヘクタールの茶畑で栽培が行われていました。

しかし、全国の多くの農村地域と同様に、田峯地区でも生産者の高齢化が進行し、2015年までの10年間で茶畑は約1ヘクタール減少しています。昭和50年代には年間25トン前後あった生産量も、2017年(平成29年)には約9トンまで減少しました。

それでも、田峯茶業組合は茶畑を借り受けて栽培を継続するなど、地域の茶文化を守るための努力を重ねています。2016年(平成28年)には、品質と生産性の向上を目指し、製茶工場にパッケージ総合仕上げ機を導入。少量でも高品質な田峯茶を安定して届けられる体制が整えられました。

煎茶・ほうじ茶の魅力

田峯茶の主力商品は、香り豊かな煎茶と、香ばしさが心地よいほうじ茶です。山間地ならではの気候で育った茶葉は、渋みが穏やかで、口当たりがやさしいのが特徴です。

日常の一服としてはもちろん、来客時のおもてなしや贈答用としても親しまれ、設楽町を訪れる観光客にとっては、旅の思い出を持ち帰る土産として人気があります。

新たな挑戦「田峯紅茶」

田峯茶の魅力は、伝統だけにとどまりません。2014年(平成26年)から、田峯茶業組合は紅茶の開発に着手しました。原料には、これまで十分に活用されてこなかった二番茶を使用し、試行錯誤を重ねながら生産が続けられています。

2016年(平成28年)には名古屋市で開催された国産紅茶フェスタに出品され、2018年(平成30年)からは紅茶の製造が本格化しました。こうして誕生した田峯紅茶は、やさしい香りとまろやかな味わいが特徴で、緑茶とはまた異なる田峯の風土を感じさせてくれます。

観光とともに楽しむ田峯茶

田峯茶は、田峯特産物直売所や周辺の道の駅などで購入することができ、設楽町を訪れる観光客にとって、地域の自然と文化を感じる一品となっています。田峰城跡や田峰観音などの歴史ある名所を巡った後、田峯茶でひと息つく時間は、奥三河ならではの贅沢な体験です。

未来へ受け継がれる山里の味

生産量の減少や高齢化といった課題を抱えながらも、田峯茶は地域の人々の手によって大切に守られ、育てられています。煎茶やほうじ茶、そして新たに生まれた紅茶を通じて、田峯の風土と人の想いが一杯のお茶に込められています。

奥三河・設楽町を訪れた際には、ぜひ田峯茶を味わい、そのやさしい香りとともに、山里の静かな時間を感じてみてください。

Information

名称
田峯茶
(だみねちゃ)

岡崎・豊田・奥三河

愛知県