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三河武士のやかた家康館

(みかわ ぶし いえやす かん)

岡崎から読み解く徳川家康と三河武士の世界

三河武士のやかた家康館は、愛知県岡崎市康生町、岡崎城公園内に位置する歴史博物館です。徳川家康の生誕地である岡崎の地から、天下統一へと至る家康の生涯と、それを支えた三河武士たちの歩みを、分かりやすく、かつ臨場感豊かに紹介しています。歴史に詳しい方はもちろん、初めて戦国時代に触れる方や観光で訪れる方にも親しみやすい展示構成が特徴です。

常設展示でたどる家康の生涯

館内の主な施設と展示内容

地下1階の常設展示室では、徳川家康公の出生から天下統一までの生涯と、それを支えた三河武士たちの人間像、時代の移り変わりなどを8つのコーナーに分けて解説しています。最新の研究成果と新たな視点を取り入れた展示内容で、家康公の生涯と三河武士の歴史を深く学ぶことができます。

序章 天下を取らせた三河の風土

展示はまず、「天下を取らせた三河の風土」から始まります。源頼朝、足利尊氏、徳川家康という三人の武家政権創始者が三河と深い関わりを持つことに注目し、地理的・社会的背景がいかに武家政権の成立を支えたかを解説します。

松平氏の成立と三河譜代

家康の祖である松平氏は、賀茂郡松平郷の松平親氏を初代とします。展示では親氏から清康に至る系譜をたどりながら、主従関係を重んじる三河譜代の形成過程を紹介します。ここで育まれた結束力が、後の徳川政権を支える大きな力となりました。

家康の出生と人質時代

松平広忠の嫡男として岡崎城で生まれた家康(幼名・竹千代)は、幼少期から波乱に満ちた人生を歩みます。織田氏、今川氏のもとで過ごした12年間の人質生活は、家康の忍耐力と現実主義を育む重要な時代でした。展示では、当時の政治情勢とともにその心境に迫ります。

自立と三河平定への道

桶狭間の戦いを契機に家康は岡崎へ戻り、今川氏からの自立を果たします。織田信長との同盟、一向一揆の鎮圧、三河平定を経て、家康は名実ともに戦国大名としての地位を確立していきます。この過程は、家康の決断力と調整力を知る重要な展示となっています。

織田・豊臣政権下の家康

浜松城時代の武田信玄との対峙、信長・秀吉の時代を生き抜いた家康の外交と戦略も丁寧に解説されます。関ヶ原の戦いは、迫力あるジオラマと映像演出により、合戦の流れを直感的に理解できる構成となっています。

江戸幕府の成立と大御所時代

征夷大将軍となり江戸幕府を開いた家康は、その後も駿府に移り大御所として政務を主導しました。展示では、大坂の陣を含む晩年の政治と、260年以上続く幕藩体制の礎を築いた功績を紹介します。

人間家康と神君家康

家康は武将であると同時に、文化や健康、学問にも関心を寄せた人物でした。出版事業や外交、鷹狩りといった側面を通じて「人間・徳川家康」の姿を描き、死後に東照大権現として神格化された「神君家康」との対比を行っています。

体験と映像で学ぶ家康館

企画展示室

1階の企画展示室1(特別展示室)と企画展示室2では、季節に応じた企画展を開催しています。これらの展示は、岡崎の歴史や武士、江戸の文化に関連したテーマを取り上げており、訪れるたびに新たな発見があります。

ジオラマシアターと映像展示

家康館シアターでは、映像を通じて家康と三河武士の歴史を学ぶことができます。特に関ヶ原の戦いを再現したジオラマシアターは、ダイナミックな映像とプロジェクションマッピングを用いた迫力のある演出により、家康を身近に感じられる人気コーナーです。

体験コーナーと情報コーナー

火縄銃や長槍の模型を実際に手に取って重さを体感できる体験コーナーや、兜を被っての記念撮影は、観光客や家族連れに好評です。また、情報コーナーでは関連書籍の閲覧や周辺文化施設の情報収集も可能です。

主な収蔵品と文化財

館内には、本多忠勝所用と伝わる黒糸威胴丸具足(重要文化財)をはじめ、市指定文化財の刀剣や工芸品など、貴重な資料が収蔵されています。蜻蛉切のレプリカや合戦図屏風も展示され、視覚的にも楽しめる構成です。

家康館誕生の背景と歩み

企業と地域が築いた歴史博物館

家康館の誕生は、1977年(昭和52年)に創立40周年を迎えたトヨタ自動車による記念事業がきっかけでした。同社から岡崎市へ寄付された5,000万円を基金として、岡崎城公園内に新たな歴史博物館を建設する構想が具体化します。1979年(昭和54年)には「岡崎城・家康館建設整備委員会」が発足し、設計案の選定や建設準備が進められました。

設計は名古屋市の浦野設計事務所が担当し、1980年(昭和55年)に建設工事が始まります。事業はさまざまな社会的出来事の影響を受けながらも進められ、1982年(昭和57年)11月3日、ついに三河武士のやかた家康館は開館しました。総事業費は約9億5,000万円とされ、岡崎市を代表する文化施設の一つとして現在に至っています。

時代に合わせたリニューアル

開館後も家康館は時代の要請に応じて進化を続け、2006年(平成18年)には展示内容を刷新しリニューアルオープンしました。さらに2019年(令和元年)には、岡崎城再建60周年を記念して、徳川宗家第18代当主・徳川恒孝氏が初代名誉館長に就任し、施設としての象徴性を一層高めました。

大河ドラマとともに注目を集めた家康館

「どうする家康 岡崎 大河ドラマ館」

2023年(令和5年)放送のNHK大河ドラマ『どうする家康』を契機に、家康館は大きな注目を集めました。岡崎市は関連事業として家康館全体を「どうする家康 岡崎 大河ドラマ館」として整備し、ドラマの世界観を体感できる特別展示を展開しました。

館内は一時休館を経て2023年1月にリニューアルオープンし、ドラマに登場した人物やエピソードを軸に、家康の決断や葛藤を分かりやすく紹介しました。大河ドラマ館は2024年1月に閉館しましたが、その後も展示を再構成し、現在の家康館へと受け継がれています。

交通アクセス

名鉄名古屋本線「東岡崎駅」から徒歩約15分と、観光で訪れやすい立地にあります。岡崎城や周辺の史跡とあわせて巡ることで、岡崎観光をより深く楽しむことができるでしょう。

まとめ

三河武士のやかた家康館は、徳川家康の生涯と三河武士の精神を、歴史・体験・映像の三つの側面から学べる岡崎屈指の観光施設です。岡崎城公園の散策とあわせて訪れることで、戦国から江戸へと続く日本史の大きな流れを、より立体的に感じることができるでしょう。

Information

名称
三河武士のやかた家康館
(みかわ ぶし いえやす かん)

岡崎・豊田・奥三河

愛知県