茶臼山は、愛知県北設楽郡豊根村と長野県下伊那郡根羽村にまたがる標高1,416メートルの山で、愛知県内で最も高い山として知られています。天竜奥三河国定公園に指定されたこの山域は、雄大な自然と四季折々の美しい景観に恵まれ、登山やハイキングはもちろん、花の名所やスキー場、高原リゾートとしても高い人気を誇っています。
山頂部には愛知県側と長野県側、それぞれに展望台が設けられており、天候に恵まれた日には奥三河の山々から南アルプスまでを一望できる大パノラマが広がります。「山の上に山がある」とも表現される独特の地形も、茶臼山ならではの魅力です。
茶臼山の南西側、標高1,358メートルの萩太郎山との間に広がるのが茶臼山高原です。この高原一帯は牧歌的な風景と開放感に満ち、春夏秋冬を通して多彩な表情を見せてくれます。標高の高さから「愛知県で一番空に近い場所」とも呼ばれ、夏でも涼しく、快適に過ごせる避暑地として親しまれています。
高原内には、休暇村茶臼山高原をはじめ、高原の美術館、矢筈池、レストハウス、天空庵、県営放牧場などが点在し、観光・宿泊・体験の拠点として充実した施設が整っています。
春の茶臼山高原を代表する景観が、天空の花回廊「芝桜の丘」です。萩太郎山の山頂付近、約2万2千平方メートルの広大な敷地に、約40万株もの芝桜が咲き誇ります。ピンク、白、紫、青紫など色とりどりの芝桜が織りなす花の絨毯は圧巻で、日本でも有数の高標高に咲く芝桜の名所として知られています。
見頃は5月上旬から6月中旬。残雪を抱く南アルプスを背景に、鮮やかな花々が広がる光景は、まさに天空の楽園と呼ぶにふさわしい美しさです。期間中にはライトアップが行われることもあり、昼間とは異なる幻想的な風景を楽しむことができます。
夏の茶臼山高原は、標高の高さから平均気温が約23度と涼しく、避暑地として最適です。新緑に包まれた高原では、ハイキングやマウンテンバイク、ゴーカート、カヌー体験など、多彩なアウトドアアクティビティが楽しめます。
矢筈池では足こぎボートが人気で、水辺の爽やかな空気を感じながら、家族や友人とゆったりとした時間を過ごせます。また、無料のドッグランも整備されており、小型犬エリアと中・大型犬エリアに分かれているため、愛犬連れの旅行にもおすすめです。
秋になると茶臼山高原は、赤や黄色に染まる紅葉の名所へと姿を変えます。標高が高いため、愛知県内でも特に早く紅葉が始まり、湖畔や遊歩道を彩るカエデやモミジが訪れる人々を魅了します。
夜間には紅葉のライトアップが行われることもあり、昼間とは異なる幻想的な雰囲気を楽しめるのも魅力です。秋の高原まつり期間中には、地元グルメが集まるイベントや、大鍋で行われる名物のいも煮会なども開催され、食と文化の両面から秋の魅力を堪能できます。
冬の茶臼山高原は、愛知県唯一のスキー場として多くの人で賑わいます。萩太郎山の北斜面に広がる茶臼山高原スキー場は、ファミリーや初心者にも優しい緩やかなコースから、中・上級者向けのコースまで揃ったバランスの良いゲレンデです。
そり専用ゲレンデや雪あそび場、動く歩道「ベルコン」も整備されており、小さな子ども連れでも安心して雪遊びを楽しめます。晴れた日には、リフト上から南アルプスの雄大な景色を望むことができ、爽快な滑走体験が味わえます。
茶臼山へのアクセス路として知られる茶臼山高原道路は、かつて有料道路として整備されていましたが、2008年に無料開放され、現在は愛知県道507号茶臼山高原設楽線として利用されています。全長約14.2キロメートルのこの道路は、天竜奥三河国定公園内を走り、沿道には高原ならではの開放的な景色が広がります。
春から秋にかけては沿道にさまざまな花が咲き、秋には紅葉、晴れた日には奥三河の山並みと牧草地が織りなす、日本的な農村風景を楽しむことができます。ドライブそのものが観光体験となる、魅力あふれるルートです。
茶臼山が幅広い世代に愛され続けている理由は、その豊かな自然環境にあります。春夏秋冬、訪れるたびに異なる表情を見せてくれるこの場所では、日常の喧騒を忘れ、心と体をリフレッシュすることができます。
登山やハイキング、花観賞、アウトドア体験、ウィンタースポーツまで、一年を通して楽しめる茶臼山高原は、愛知県を代表する自然観光地のひとつです。空に近い高原で、四季の移ろいを全身で感じてみてはいかがでしょうか。