岡崎信用金庫資料館は、愛知県岡崎市伝馬通に位置する歴史ある資料館です。この建物は1917年(大正6年)に岡崎銀行本店として建設され、その後、岡崎商工会議所会館を経て、1982年(昭和57年)に岡崎信用金庫資料館として開館しました。金融や経済に関する貴重な資料が展示されており、地域の歴史を学ぶことができる施設です。
岡崎銀行は1890年(明治23年)に設立され、1917年(大正6年)4月に本店を伝馬通に移転しました。この際、名古屋を拠点に活躍した建築家・鈴木禎次が設計を担当し、赤煉瓦と御影石を組み合わせたルネサンス様式の重厚な建物が誕生しました。鈴木は辰野金吾に師事し、鶴舞公園の奏楽堂や噴水塔など、多くの建築を手掛けたことで知られています。
1945年(昭和20年)7月の岡崎空襲により、市街地は壊滅的な被害を受け、岡崎銀行本店も外壁を残して焼失しました。その後、1950年(昭和25年)に岡崎商工会議所が建物を買い取り、改修を行ったうえで商工会議所会館として活用しました。これにより、地域経済の拠点として新たな役割を果たすこととなりました。
1976年(昭和51年)、岡崎商工会議所が新たな会館を明大寺町に建設し移転したことで、旧館は取り壊される寸前でした。しかし、岡崎信用金庫の服部敏郎会長が市民の声を受け、建物と土地を買い取る決断をしました。そして、金融・経済を中心とした資料館として整備されることとなり、内側を鉄筋コンクリートで補強するなどの改修が施されました。
こうして1982年(昭和57年)11月2日に岡崎信用金庫資料館が開館しました。この開館は、岡崎信用金庫の創立55周年記念事業の一環として行われたもので、初代館長には柴田経三が就任しました。また、同年11月には日本建築学会によって「全国の建物2000棟」に選ばれるなど、建築的な価値も高く評価されています。
1990年(平成2年)には、岡崎市の「岡崎市都市景観環境賞」を受賞し、2008年(平成20年)には国の登録有形文化財に指定されました。さらに、2017年(平成29年)10月31日には岡崎市の景観重要建造物にも指定され、歴史的建造物としての価値が認められています。
2014年(平成26年)10月には、愛知登文会による県内登録有形文化財の特別公開「愛知県建築文化財公開(あいたて博)」の対象施設として、岡崎信用金庫資料館も一般公開され、多くの来館者がその歴史に触れました。
岡崎信用金庫資料館の建築は、ルネサンス様式を主体としています。外観には御影石と赤煉瓦が組み合わされ、重厚な雰囲気を醸し出しています。建物は地上2階建ての一部3階建てで、東側には尖塔屋根、西側にはネオ・ルネサンス様式の箱型屋根が施されています。こうした特徴的なデザインは、当時の建築技術の粋を集めたものといえるでしょう。
館内には、岡崎の金融業の発展や地域経済の歴史を伝える資料が展示されており、訪れる人々にとって貴重な学びの場となっています。また、歴史ある建物の中で当時の銀行の様子を感じ取ることができる点も、見どころの一つです。
岡崎信用金庫資料館は、金融と地域経済の歴史を伝えるだけでなく、建築としても価値のある文化財です。その重厚なルネサンス様式の建築と、時代を超えて受け継がれてきた歴史の重みを感じられるこの場所は、岡崎市を訪れる際にはぜひ立ち寄りたいスポットの一つです。