愛知県北設楽郡東栄町大字本郷に位置する東栄町立博物館は、地域の歴史や文化を紹介する郷土博物館です。時に東栄町博物館と表記されることもあり、地域の貴重な資料を収蔵・展示して、訪れる人々に東栄町の魅力を伝えています。
東栄町立博物館は、周辺一帯が総合社会教育文化施設として整備されており、町民や観光客に幅広く利用されています。博物館に加えて、1992年(平成4年)には東栄町立民芸館も建設され、地域の伝統文化の保存と継承に貢献しています。
東栄町立博物館は鉄骨造2階建であり、延床面積は306.5平方メートルに及びます。コンパクトながらも充実した展示内容を誇ります。
1987年(昭和62年)時点で約1,780点、2001年(平成13年)には約2,500点の資料が収蔵されています。
1階には、古生代・中生代・新生代に分類された化石類、岩石、鉱物標本、さらに鳥類や哺乳類の剥製標本などが展示されています。特に新生代第三紀層の化石が非常に充実しており、専門家からも高く評価されています。
2階には、郷土史家馬場強氏が寄贈した化石約1000点が展示されています。これらの化石は地元の自然史を知るうえで貴重な資料となっています。
東栄町立民芸館は、1992年(平成4年)に開館しました。三河地方の山間部でかつて見られた生活習慣や民俗文化を後世に伝えるための施設です。
かつてこの地域では、生理や出産を「不浄なもの」と見なす文化があり、生理中や出産間際の女性は家族と別れて「産小屋」で生活する習慣がありました。
東栄町立民芸館では、愛知県内で唯一現存する「長岡の産小屋」が移築・復元されています。この産小屋は、1967年(昭和42年)に愛知県指定有形民俗文化財に指定されており、当時の生活文化を知る貴重な資料となっています。
1967年(昭和42年)、明治100年の記念事業の一環として、東栄町によって東栄町立博物館が設立されました。その後、1969年(昭和44年)4月1日に正式に開館しています。
開館に先立ち、町の担当者たちは岐阜県高山市の民俗資料館や長野県木曽郡木曽福島町の民俗資料館など、全国の先進的な施設を視察し、充実した施設づくりに取り組みました。
1971年(昭和46年)頃から、愛知県内外の自治体において郷土館や民俗館を設置する動きが活発化しました。この流れの中で、東栄町立博物館も教育委員や文化財保護委員など多くの視察者を受け入れる存在となりました。
かつては、1884年(明治17年)に竣工した東栄町立本郷小学校旧校舎を利用して民俗館が運営されていました。この木造2階建の校舎は、明治時代の建築物としては非常に立派なものであり、民俗館としての活用に適していました。
1987年(昭和62年)時点で、約9,300点の資料を収蔵していました。その後、1992年(平成4年)には建物の老朽化などを理由に民芸館へと移行しました。
東栄町立博物館へのアクセスは、東海旅客鉄道(JR東海)飯田線の東栄駅から「おでかけ北設東栄線」バスに乗車し、本郷バス停で下車後、徒歩約10分の距離にあります。
開館時間は8時30分から16時30分までとなっており、観覧には時間に余裕を持って訪れることをおすすめします。
東栄町立博物館は、東栄町総合社会教育文化施設の一部として整備されており、周辺には花祭会館などもあります。これらの施設を併せて訪れることで、東栄町の文化をより深く理解することができます。
東栄町立博物館は、郷土の自然、歴史、文化を多角的に紹介する施設として、多くの人々に親しまれています。また、隣接する東栄町立民芸館や総合社会教育文化施設と共に、地域の貴重な文化遺産を後世に伝える重要な役割を果たしています。東栄町を訪れる際には、ぜひこれらの施設を巡り、地域文化の深さと豊かさに触れてみてはいかがでしょうか。