愛知県北部の三河地方に位置する豊田市は、世界的な自動車メーカーであるトヨタ自動車の企業城下町として知られています。中核市、中枢中核都市、環境モデル都市、SDGs未来都市にも指定され、日本を代表する工業都市のひとつです。
しかし、豊田市は工業都市としてだけでなく、自然の美しさと歴史的な名所が数多く存在する魅力的な観光地です。市内には歴史ある城郭や宿場町、豊かな自然が広がる公園や渓谷、さらには四季折々の花々が楽しめる名所が点在しています。
愛知県豊田市には、美しい自然や歴史的な文化財、家族で楽しめる公園やアウトドア施設など、多彩な観光スポットが点在しています。ここでは、豊田市の見どころを詳しくご紹介します。
豊田市の代表的な観光名所のひとつが香嵐渓です。愛知県内でも屈指の紅葉の名所として知られ、秋になると約4000本のカエデが美しく色づきます。特に11月にはライトアップが行われ、多くの観光客が訪れます。また、春には新緑、夏には清流、冬には雪景色と、四季折々の風景を楽しむことができます。
豊田市には、国際大会も開催される大規模なスタジアムである豊田スタジアムがあります。Jリーグ・名古屋グランパスのホームスタジアムであり、2019年にはラグビーワールドカップの試合が開催されました。最新の設備を備えたスタジアムで、スポーツ観戦だけでなく、コンサートや各種イベントも開催されます。
豊田市美術館は、1995年に開館した現代美術を中心とした美術館です。建築家の谷口吉生による設計で、美しい庭園はピーター・ウォーカーが手がけています。館内では、国内外の現代美術作品を鑑賞できるほか、企画展も頻繁に開催されています。
足助の町並みは、江戸時代の風情を残す歴史的な地域で、国の重要伝統的建造物群保存地区にも指定されています。中馬街道の宿場町として栄えたこの地域では、風情ある古い町並みを歩きながら、地元の特産品や郷土料理を楽しむことができます。
松平郷は、徳川家康の祖先である松平氏の発祥の地として知られています。松平東照宮や松平郷園地などの歴史的なスポットが点在し、戦国時代や江戸時代の歴史に触れることができます。歴史好きな方におすすめの観光地です。
豊田市には、自然に囲まれた癒しの温泉地もあります。稲武温泉は、美肌効果が期待できる温泉として知られ、のんびりとした雰囲気の中でくつろぐことができます。また、笹戸温泉は愛知県最古の温泉地とされ、矢作川の美しい景色を眺めながら温泉を楽しむことができます。
毎年7月の最終日曜日に開催される豊田おいでんまつりは、豊田市を代表する夏の祭りです。祭りのフィナーレを飾る花火大会では、日本各地の有名な花火師による豪華な花火が打ち上げられ、約40万人もの観客が訪れます。美しい花火と共に、豊田市の夏の風物詩を楽しむことができます。
豊田市を流れる矢作川は、市のシンボルともいえる存在で、川沿いには美しい自然が広がります。また、豊田市の北部には三河高原があり、ハイキングやキャンプを楽しむことができる自然豊かなエリアです。
豊田市には標高1,000mを超える山々も存在し、登山や自然散策が楽しめます。特に有名なのが、標高1,240mの天狗棚(てんぐだな)や、1,162mの三国山(みくにやま)です。これらの山々では、四季折々の風景を楽しむことができ、特に秋の紅葉シーズンには多くの登山客が訪れます。
豊田市には、かつての城郭や街道、遺跡が数多く残されています。戦国時代から江戸時代にかけての歴史を感じることができる場所が点在しており、歴史好きにはたまらないスポットが揃っています。
かつて交通の要所として栄えた三州街道が市内を通り、その宿場町の面影が今も残されています。
豊田市には、美しい渓谷や原生林、湖など、四季折々の自然を楽しめるスポットが数多くあります。
豊田市では、四季折々の花々を楽しむことができます。
市内には、旅の疲れを癒してくれる温泉施設も充実しています。
豊田市には、芸術や歴史を学べる施設も豊富にあります。
豊田市には、市民の憩いの場となる都市公園が184か所あり、1人あたりの公園面積は10.96平方メートルです。特に以下の総合公園は、多くの人々に親しまれています。
自然豊かな緑地公園で、散策やピクニックに最適です。
スポーツ施設も充実し、市民の健康づくりに貢献しています。
広大な敷地を持ち、四季折々の風景が楽しめる公園です。
スポーツを楽しめる運動公園も充実しています。
ランニングコースや運動広場が整備されています。
スポーツ大会やイベントの会場としても利用されています。
地域住民が気軽に利用できる公園として、以下の公園があります。
美しい池のほとりで自然を満喫できる公園で、家族連れに人気です。
6.4ヘクタールの広大な敷地に、豊かな自然が広がる公園です。
キャンプやアドベンチャー体験ができる施設も多数あります。
豊田市の街並みを一望できるスポットです。
豊田市には、歴史的価値のある文化財も多く存在します。
豊田市には、国の登録有形文化財に指定された建造物もあります。
2011年に選定された、歴史ある町並みが残る地区です。
美しい庭園が広がり、四季折々の風景が楽しめます。
豊田市では、歴史ある祭りから地域に根付いた伝統行事まで、多彩な祭事が開催されます。
江戸時代から続く伝統的な祭りで、豊田市中心部の挙母神社で行われます。祭りの見どころは、豪華な装飾が施された8台の山車が町を練り歩く姿です。勇壮な掛け声とともに進む山車の迫力は、見る人を魅了します。
松平地区で開催される伝統行事で、紙で作られた金魚型の花火が夜空に浮かぶ幻想的な光景を楽しめます。かつて途絶えていたこの行事を復活させたイベントで、地元の人々にも親しまれています。
豊田市最大級の祭りで、夏の風物詩として多くの観光客が訪れます。市民による「おいでん踊り」のパレードが華やかに繰り広げられ、フィナーレには迫力満点の花火大会が開催されます。豊田市の活気と熱気を体感できるイベントです。
猿投神社で開催される祭りで、郷土芸能「棒の手」が披露されるのが特徴です。棒の手は、槍や棒を使った勇壮な武術演舞で、古くから地域の伝統芸能として受け継がれています。
国の重要無形民俗文化財に指定されている伝統行事で、地域住民が夜を徹して念仏を唱えながら踊る姿が特徴です。独特の雰囲気を持つこの盆踊りは、歴史や文化を感じられる貴重な機会となっています。
徳川家康の祖先である松平氏ゆかりの神社「松平東照宮」で行われる祭りです。神事や伝統行事が執り行われ、地域の歴史を感じることができます。
松平親氏の偉業を称える裸祭りの一種で、毎年2月の第2日曜日に行われます。厄年の男性たちが下帯姿になり、「水玉」と呼ばれる木製の玉を奪い合うことで厄を払うとされています。勇壮な光景が繰り広げられる伝統行事です。
豊田市では、伝統行事だけでなく、スポーツ大会や文化イベントなど、多彩な催しが行われています。
豊田市の足助地区で開催されるひな祭りイベントで、江戸時代の町並みに色とりどりのひな人形が飾られます。情緒あふれる風景が広がり、多くの観光客が訪れます。
国内外のトッププレイヤーが集う国際テニス大会で、スポーツファンにとって見逃せないイベントです。
女子プロゴルフツアーの一環として開催される大会で、国内外のゴルフプレイヤーが集い、熱戦を繰り広げます。
世界各国のトップアスリートが競い合う国際体操大会で、美しい演技と高度な技術が観客を魅了します。
若手サッカー選手の育成を目的とした大会で、未来のスター選手たちの活躍を間近で見ることができます。
豊田市には、伝統的な特産品やご当地グルメも豊富に揃っています。
豊田市小原地区で生産される和紙で、美しい模様や独特の風合いが特徴です。和紙工芸品や書道用紙としても人気があります。
豊田市の伝統的な珍味で、ボラの卵巣を塩漬けにして乾燥させたものです。濃厚な味わいが楽しめ、日本酒のお供にも最適です。
豊田市を含む中部地方で親しまれている郷土料理で、すりつぶしたご飯を串に刺し、甘辛いタレをつけて焼いたものです。香ばしい風味と甘辛い味わいが人気です。
豊田市といえば、日本を代表する自動車メーカー「トヨタ自動車」の本拠地としても知られています。市内には「トヨタ会館」や「トヨタ産業技術記念館」など、自動車の歴史や技術を学べる施設もあり、自動車ファンには必見のスポットです。
豊田市の地域には古くから人々の活動の跡が見られます。水入遺跡などからは後期旧石器時代の石器が発掘されており、縄文時代には隆起線文土器などが出土した「酒呑ジュリンナ遺跡」が確認されています。この遺跡は、愛知県内で最も古い縄文時代の遺跡の一つとされています。
弥生時代になると、梅坪遺跡をはじめとする環濠集落が現れました。また、三河地方で最大級の弥生時代の集落遺跡として、高橋遺跡が存在しています。古墳時代には、矢作川流域を中心に数多くの古墳が築かれました。その中には、児ノ口社にある「落別王墓」と伝えられる前方後円墳や、6世紀に築かれた「猿投の池田1号墳」などがあります。
奈良時代には、猿投に「舞木廃寺塔跡」が築かれたとされ、ここからは岡崎市の「北野廃寺跡」と同じ形の瓦が出土しています。これは、物部氏の菩提寺と考えられています。また、矢作川東部は賀茂郡(鴨評)の山田郷・高橋郷と呼ばれ、物部氏の拠点の一つであったことが石神遺跡から発見された木簡によって確認されています。
『古事記』には「衣」「許呂母(ころも)」といった地名が登場し、奈良時代の「好字二字令」によって「挙母(ころも)」という表記が使われるようになりました。この「衣」は、三河湾の衣浦の由来になったともいわれています。平安時代には伊保郷や高橋郷、挙母(衣)郷などの地域が成立し、その後、高橋荘や足助荘、碧海荘などの荘園が発展しました。
鎌倉時代には、鎌倉幕府の重臣であった中条氏が「高橋荘地頭」となり、三河鈴木氏や三宅氏を従えて「挙母城」を築きました。中条氏は猿投神社に多くの寄進を行い、菩提寺として「長興寺」を建立しました。一方で、足助地域では足助氏が足助荘を支配し、「足助城」などを築きました。室町時代になると、飯盛山に足助氏の菩提を弔うために「香積寺」が建立されました。
戦国時代には、松平氏が勢力を広げ、「井田野の戦い」などを経て中条氏が衰退しました。松平氏は大給松平家や滝脇松平家といった分家を設け、地域の支配を強めました。江戸時代には、挙母藩が成立し、城下町として発展しました。
1951年(昭和26年)に「挙母市」として市制が施行され、その後1959年(昭和34年)に「豊田市」へと改称されました。これは、市内に本社を置く「トヨタ自動車」の存在が大きく影響しています。1960年にはアメリカのデトロイト市と姉妹都市提携を結び、国際交流が進められました。
その後、市域の拡大が進み、2005年には旧藤岡町や足助町などが編入され、現在の豊田市の形となりました。豊田市は産業・文化の面で発展を遂げ、1995年には「豊田市美術館」、2001年には「豊田スタジアム」がオープンするなど、観光資源の充実も進められています。
豊田市では農業も盛んで、特に猿投(さなげ)地区では桃や梨の栽培が行われています。なかでも「愛宕(あたご)」という品種の梨は全国的にも有名で、2011年には「世界一重い梨」としてギネス世界記録に認定されました。その他、高岡・上郷地区では茶の生産も行われており、特に抹茶の原料となる「てん茶」が主要な生産品です。
豊田市の北東部(旧足助町・稲武町)では、杉や檜の木材の加工や生産が行われています。しかし、近年では林業に従事する世帯が減少し、厳しい状況に直面しています。
豊田市には、美味しい名産品も多くあります。新鮮な鮎や地元で造られた酒、さらには春の七草など、訪れた際にはぜひ味わいたい特産品が揃っています。
豊田市の産業の中心は、自動車関連の製造業です。かつては養蚕や繊維産業が発展していましたが、戦後の需要変化により衰退し、代わってトヨタ自動車の工場が建設され、自動車産業の拠点となりました。現在では、トヨタ自動車をはじめとする関連企業が多く集まり、市の経済を支えています。
豊田市には、歴史ある酒造会社がいくつか存在します。地元の食文化とともに、日本酒の醸造も行われており、各酒造の銘柄は地元の特産品として人気があります。
豊田市内の鉄道路線は主に南北に伸びており、東西を横断する路線は少ないのが特徴です。鉄道は西部地域に集中しており、東部には路線が存在しません。1988年には国鉄の岡多線が愛知環状鉄道に転換され、現在はJRの駅は市内にありません。
市内の鉄道網が限られているため、バス交通が重要な役割を担っています。とよたおいでんバスをはじめとする路線バスが運行され、鉄道のない地域の住民の移動を支えています。かつては名古屋市内へ直通する都市間高速バスが運行されていましたが、2020年3月に廃止されました。
また、中部国際空港(セントレア)への直行バスも運行されており、名鉄バスが運行を担当しています。
近年では、新東名高速道路や東海環状自動車道の整備が進み、豊田市は県内有数の交通の拠点として発展しています。
豊田市は、日本を代表する工業都市であると同時に、美しい自然や歴史的な町並み、温泉などの観光資源を豊富に持つ都市でもあります。香嵐渓の紅葉、豊田スタジアムのスポーツイベント、足助の歴史的な町並み、松平郷の歴史探訪、温泉での癒しなど、さまざまな楽しみ方ができる魅力的な観光地です。名古屋からのアクセスも良好なので、ぜひ一度訪れてみてはいかがでしょうか。