豊田市美術館は、愛知県豊田市にある公立の美術館です。1995年(平成7年)に開館し、20世紀美術やデザインの収蔵、そして現代美術の企画展を積極的に開催しています。高台に位置し、かつて挙母城(七州城)のあった場所に建てられたこの美術館は、建築家・谷口吉生による洗練された建築デザインと、ピーター・ウォーカーによる美しい庭園設計が特徴です。
豊田市美術館は、20世紀の美術運動を網羅するコレクションと、日本の現代美術を積極的に取り上げることで知られています。さらに、漆芸の巨匠・髙橋節郎の作品を展示する「髙橋節郎館」も併設されています。2024年(令和6年)4月26日には、隣接地に豊田市博物館が開館し、さらなる文化発信の場となりました。
建築家・谷口吉生による設計で、鉄とガラスを用いたモダニズム建築の代表作です。シンプルながらも機能的なデザインで、展示や鑑賞に配慮された構造が特徴です。また、展示室の間から他の展示空間が見えたり、廊下から豊田市の眺望が開けるなど、空間の意外性も楽しめます。
美術館の庭園設計は、世界的なランドスケープ・デザイナーであるピーター・ウォーカーが手掛けました。館内の2階部分は広大な人工池に面し、建物の白いガラスと緑色のスレートが水面に映える美しい光景を生み出しています。池の対岸には彫刻の散歩道、茶室「童子苑」、復元された七州城の隅櫓があります。
茶室「童子苑」は、かつてこの一帯が「童子山(どうじやま)」と呼ばれていたことに由来します。隅櫓は1978年(昭和53年)に再建されたもので、隣接する書院「又日亭」は、かつて寺部城にあった書院を移築したものです。茶室では、来館者向けに立礼席茶会が提供されており、市民が利用できる文化的な空間としても活用されています。
豊田市美術館のコレクションは、以下のような分野を網羅しています。
これらの作品を活かし、同じ作家の作品を複数所蔵することで、小規模なテーマ別の企画展を常に開催できる点が特徴です。
豊田市美術館は、大規模な巡回展の誘致ではなく、コレクションを活かした独自の展示を重視しています。例えば、以下のような特別展を開催しました。
豊田市美術館では、美術作家を招いたワークショップや教育普及活動を積極的に展開しています。特に、観客とともに作品を制作するプロジェクト『ワーク・イン・プログレス:プロジェクト・イン豊田』(1999年~)は、市民参加型の美術プロジェクトとして注目を集めています。
豊田市美術館は、現代美術の発信地として全国的に知られ、建築、庭園、コレクション、展覧会のすべてにおいて高い評価を受けています。文化的な交流の場としても機能し、今後もさらなる発展が期待される美術館です。訪れる人々に新たな芸術体験を提供し続けるこの美術館は、まさに日本を代表する文化施設の一つといえるでしょう。