豊田おいでんまつりは、愛知県豊田市で毎年7月に開催される、市民参加型の夏祭りです。伝統ある盆踊りを発展させた「おいでん総踊り」と、豪華な花火が打ち上がる「花火大会」の二大イベントが特徴で、地域の人々を中心に多くの観光客が訪れる豊田市の一大イベントとなっています。
豊田おいでんまつりのルーツは、1968年(昭和43年)に開催された「豊田まつり」にさかのぼります。これは、明治改元100年を記念して、豊田市の中心部で行われていた「天王・扇まつり」と同時期に開催されたのが始まりです。当初は盆踊りを中心とした比較的小規模な祭りでしたが、1980年代になると市民の参加が減少し、婦人会や青年団による細々とした運営が続いていました。
祭りの活性化を図るため、高知県の「よさこい祭り」を参考にして「おいでん総踊り」が導入されました。その結果、1989年(平成元年)の第21回目からは「豊田おいでんまつり」と名称を改め、豊田市を代表するイベントへと発展しました。祭りの名称やテーマソング「おいでん」は、市民の公募によって決定され、地域住民の手で作り上げられたお祭りとしての色合いが強くなりました。
おいでん総踊りは、祭りの初日(土曜日)の夜に行われるダンスイベントです。市民が自由に結成した「おどり連」と呼ばれるグループが、豊田市の市街地を踊りながら練り歩きます。曲に合わせた標準の振り付けを踊ることもできますが、グループごとに独自の振り付けを考案し、個性豊かな演舞を披露することも可能です。
おいでん総踊りでは、入賞を目指して踊りの完成度やチームの一体感が競われます。しかし、祭りの最後には「乱舞」と呼ばれる時間が設けられ、順位を気にせず誰もが自由に踊ることができる場となります。この乱舞には飛び入り参加も可能で、観客も一体となって祭りの熱気を共有することができます。
2007年(平成19年)以降、おいでん総踊りは「おいでんファイナル」として1日限定開催となりました。以前は金曜日と土曜日の2日間にわたって行われていましたが、現在は昼の部と夜の部の2部構成となり、より凝縮されたイベントとなっています。また、祭り本番の総踊りに参加できる「おどり連」は、6月中旬から市内各地で開催される予選会「マイタウンおいでん」で選抜される仕組みになっています。
「リトルおいでん」は、おいでん総踊りの前に行われる子ども向けのイベントです。豊田市内の幼稚園や保育園の園児たちが、先生とともに30分ほど市街地を踊り歩きます。3歳児から5歳児の小さな子どもたちが一生懸命踊る姿は、観客からも温かい声援が送られます。
豊田おいでんまつりのフィナーレを飾るのは、日曜日の夜に開催される「花火大会」です。矢作川の河川敷を中心に、毎年約1万5千発もの花火が夜空を彩ります。その規模は内陸部の都市では有数であり、多くの観客が訪れる人気のイベントとなっています。
この花火大会では、市民協賛による花火も打ち上げられます。個人や企業がスポンサーとなり、特定のメッセージとともに花火を提供する仕組みで、家族や友人へのメッセージを夜空に届けることができます。
おいでんまつりの公式テーマソング「おいでん」は、豊田市観光協会が制作した楽曲で、夏になると市内の至る所で流れます。
作詞:豊田市観光協会
作曲・編曲:細井豊(センチメンタルシティロマンス)
歌:橋本舞子
三河弁で「おいで、見て、踊ろう」という意味を持つフレーズ「♪〜おいでん 見りん 踊ろまい〜♪」が特徴的なこの楽曲は、おいでん総踊りの会場を盛り上げる重要な要素の一つとなっています。また、2019年(令和元年)には、豊田市のご当地アイドル「Star☆T」によるカバーバージョンも発表され、話題を集めました。
豊田おいでんまつりは、市民が主役となって踊り、楽しむことができる魅力的な夏祭りです。伝統的な盆踊りの要素を取り入れつつ、現代的なスタイルへと進化を遂げ、多くの人々に親しまれています。華やかな花火大会も見どころの一つで、毎年多くの観光客が訪れる夏の風物詩として定着しています。今後も時代とともに進化しながら、豊田市の文化として受け継がれていくことでしょう。