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蔦の渕(振草渓谷)

(つたのふち)

奥三河のナイアガラ

蔦の渕は、愛知県北設楽郡東栄町に位置する壮大な滝であり、「奥三河のナイアガラ」とも称される名所です。清流大千瀬川(振草川)の中流域に位置し、水量豊かな幅広い流れが特徴で、迫力ある水音とともに、四季折々の景観が楽しめる人気のスポットとなっています。

蔦の渕の魅力

圧巻の滝、「奥三河のナイアガラ」

蔦の渕は、幅約70メートル、落差約10メートルという規模を誇り、その雄大な姿は「奥三河のナイアガラ」と呼ばれ、多くの観光客を魅了しています。滝は東栄町の名湯「とうえい温泉」の裏手に位置し、展望台から間近にその壮観な景色を眺めることができます。

竜神伝説と竜神の鐘

この地には古くから竜神伝説が伝わっており、滝壺には竜神が棲み、竜宮城へと通じていると語られています。滝のそばには「竜神の鐘」が設置されており、鳴らすと願いが叶うと信じられています。訪れる際には、ぜひ鐘を鳴らしてみてはいかがでしょうか。

標高と周辺環境

蔦の渕の標高はおおよそ250メートルであり、周囲は自然豊かな山間部に囲まれています。春には新緑、夏には清涼感あふれる水辺、秋には紅葉、冬には厳かな雪景色と、四季折々の自然美を堪能できるのも大きな魅力です。

蔦の渕の地質

柱状節理と差別侵食

蔦の渕の滝頭は、硬い安山岩による柱状節理構造を持ち、滝壺部分は柔らかい泥岩から形成されています。このため、安山岩よりも泥岩が早く浸食される「差別侵食」の作用によって、現在のような美しい滝壺が形作られました。

また、滝の右岸側は緩やかに傾斜しているため、滝全体を眺めると左右で異なる趣を楽しむことができます。特に左岸側では落差が大きく、滝の豪快な流れを見ることができ、対して右岸側ではより穏やかな水の流れが見られるため、繊細で豊かな表情が魅力となっています。

蔦の渕にまつわる伝承

お蔦の伝説

蔦の渕の名前の由来には、かつてこの地に生きたお蔦という女性の悲しい伝説が語り継がれています。悲恋に苦しんだお蔦は、思い悩んだ末にこの滝壺へ身を投じたとされ、その悲しみの物語が滝の名前となりました。

現在でも、この伝説は地域の人々に大切にされており、訪れる人々もお蔦の想いに思いを馳せながら、静かに滝を見つめています。

蔦の渕をより楽しむために

展望台と遊歩道

2003年(平成15年)には、とうえい温泉 花まつりの湯と蔦の渕を結ぶ遊歩道が整備されました。また、蔦の渕の絶景を一望できる展望台も設けられており、訪れる人々に滝の美しさを存分に楽しんでもらえるようになっています。

展望台からの眺望は格別で、幅広く力強い水の流れと周囲の豊かな緑が織りなす絶景は、まさに心を打つ美しさです。写真撮影にも人気のスポットとなっており、多くの観光客がカメラを手に訪れます。

温泉とあわせて楽しむ

隣接する「とうえい温泉 花まつりの湯」は、観光やハイキングの後に心と体を癒すのにぴったりな施設です。天然温泉ならではの効能豊かな湯に浸かりながら、自然の恵みを全身で感じることができます。蔦の渕と温泉を組み合わせた観光コースは、東栄町を訪れる際の定番プランとしておすすめです。

振草川と清流が育む鮎

香り豊かな鮎のふるさと

蔦の渕を流れる振草川は、穏やかな流れと岩盤が特徴の美しい清流です。この川では、海産系豊川産の鮎を放流しており、川との相性が非常によく、美しく美味しい鮎を育んでいます。

平成29年度に開催された「第20回清流めぐり利き鮎会」では、全国58河川、約2900匹の鮎の中から、振草川の鮎が見事グランプリに輝きました。町内の飲食店や旅館で味わうことができるこの天然鮎は、訪れた際にはぜひ堪能したい逸品です。

振草渓谷の自然美

渓谷の絶景と紅葉

振草川がつくりだす振草渓谷には、多くの滝や渕が点在しており、特に預り渕からの眺めは圧巻です。秋には渓谷全体が鮮やかな紅葉に包まれ、10月末頃から日ごとに変わる景色はまさに絶景。訪れるたびに新たな表情を見せてくれます。

大千瀬川(振草川)

地理と流域

大千瀬川(おおちせがわ)は、愛知県北設楽郡東栄町から静岡県浜松市天竜区へと流れる河川で、流路延長は20.7キロメートル、流域面積は272平方キロメートルに及びます。天竜川の支流であり、上流部は振草川とも呼ばれています。

川の流れと景観

大千瀬川は大鈴山の東麓から東へ向かって流れ出し、国道151号に沿って本郷市街地を横断します。市街地の東端には、蔦の渕が位置し、その後は国道473号に沿って進み、「振草渓谷」と呼ばれる美しい区間に入ります。

振草渓谷県立自然公園

1969年には振草渓谷県立自然公園に指定され、清らかな水と自然が作り出す景観が多くの人々に親しまれています。川床は領家変成帯の花崗岩からなり、甌穴群(ポットホール)が多数見られ、自然の造形美を体感できます。

甌穴群「煮え渕ポットホール」「預り渕ポットホール」

振草渓谷には、煮え渕ポットホール預り渕ポットホールといった甌穴群が存在し、1988年に愛知県指定天然記念物に指定されました。長年にわたる水流の浸食によって作られた自然の造形は圧巻です。

豊川用水事業と流域変更

上流部においては、豊川用水事業により流域が豊川水系に変更されていますが、下流では変わらず天竜川水系に属しています。豊かな水資源は地域の生活や農業にも欠かせない存在です。

アユ釣りの聖地・振草川(大千瀬川)

解禁と鮎の魅力

振草川では、アユ釣りが盛んに行われており、解禁日は愛知県でもトップクラスの早さを誇ります。2019年(令和元年)には、5月18日に解禁され、東三河地方で最も早い時期のスタートとなりました。

川底が岩盤質で良質な藻が育つため、振草川のアユは香り高く、味わい深いと評判です。特に清流の天然アユは格別で、多くの釣り人を魅了しています。

全国大会での栄冠

2017年(平成29年)に高知市で開催された「第20回清流めぐり利き鮎会」では、振草川のアユがグランプリを受賞しました。また、2011年と2013年の大会では準グランプリにも輝いており、全国でも高い評価を受けています。

アクセス情報

交通手段

蔦の渕へのアクセスは以下の通りです。

公共交通機関を利用する場合も、自家用車でのアクセスも容易なため、さまざまなスタイルで訪れることができます。

まとめ

蔦の渕は、愛知県北設楽郡東栄町にひっそりとたたずむ、自然の神秘を感じさせる美しい滝です。幅広い水の流れと変化に富んだ地形、そして悲しい伝説が重なるこの場所は、訪れる人々の心に深い印象を残します。

春の新緑、夏の涼、秋の紅葉、冬の雪景色と、どの季節に訪れても違った魅力に出会える蔦の渕。近隣の温泉施設と合わせて訪れれば、心身ともにリフレッシュできることでしょう。

ぜひ、東栄町を訪れた際には、自然と歴史が織りなすこの美しい滝を訪れてみてください。

Information

名称
蔦の渕(振草渓谷)
(つたのふち)

岡崎・豊田・奥三河

愛知県