愛知県豊田市には、貴重な湿地環境が広がる「矢並湿地」や「東海丘陵湧水湿地群」があります。これらの湿地は、ラムサール条約に登録されるほどの重要な自然環境を有し、豊かな生態系を育んでいます。
矢並湿地は、愛知県豊田市に位置する湿地で、2012年(平成24年)7月3日に「東海丘陵湧水湿地群」の一部としてラムサール条約に登録されました。豊田市の東部に広がる自然豊かな地域にあり、湧水が豊富なこの湿地は、多様な動植物の生息地となっています。
矢並湿地は、鞍ヶ池公園に隣接し、愛知高原国定公園の一部にも指定されています。湿地の面積は約3,000m²で、市道を挟んで東湿地(500m²)と西湿地(2,500m²)に分かれています。環境省による「日本の重要湿地500」の1つに選定されており、豊田市自然愛護協会や地元の保存会が保全活動を行っています。
矢並湿地は、毎年10月頃に約5日間程度の一般公開が行われます。この期間には、専門家の解説を聞きながら湿地の貴重な生態系を観察することができます。ただし、一般公開以外の期間は、湿地環境の保全のため原則として立ち入りが禁止されています。
矢並湿地では、多くの昆虫や小動物が生息しています。特に次のような希少種が確認されています。
湿地ならではの希少な植物も多数生息しており、以下のような種が見られます。
東海丘陵湧水湿地群は、矢並湿地、上高湿地、恩真寺湿地を総称した名称で、2012年7月3日にラムサール条約に登録されました。愛知県では、名古屋市の藤前干潟に次ぐ2件目の登録湿地となります。
この地域の湿地は、地下水が粘土質と砂礫質の層を通じて地表に湧出し、その過程で土砂崩れが発生し、地表が剥がれることで形成されます。東海地方の丘陵地には、このような湧水湿地が点在しており、その中でも特に重要な湿地が「東海丘陵湧水湿地群」とされています。
矢並湿地は東海丘陵湧水湿地群の一部で、詳細は前述のとおりです。面積は約5.13haあり、一般公開期間以外は立ち入りが制限されています。
上高湿地(かみたかしっち)は、豊田市上高町に位置し、面積は約5.45haです。2012年から「上高湿地を守る会」による保全活動が行われています。湿地林や草本群落など、多様な植物が生育していますが、遊歩道は整備されておらず、希少動植物の保護のため一般の立ち入りは禁止されています。
恩真寺湿地(おんしんじしっち)は、豊田市山中町に位置し、面積は約11.92haです。この湿地は、江戸時代の思想家・鈴木正三ゆかりの恩真寺の境内奥にあり、歴史と自然が融合する場所となっています。こちらも希少な動植物の生息地として保護されており、一般の立ち入りはできません。
矢並湿地や東海丘陵湧水湿地群は、愛知県豊田市の貴重な自然環境の一部であり、多くの希少な動植物が生息する重要なエリアです。一般公開の機会を利用して訪れ、自然の素晴らしさを体感してみてはいかがでしょうか。