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御油の松並木

(ごゆ まつなみき)

江戸の風情を今に伝える歴史の道

御油の松並木は、愛知県豊川市に位置し、旧東海道の御油宿(ごゆしゅく)と赤坂宿(あかさかしゅく)の間に存在する歴史ある松並木です。江戸時代に整備されたこの並木道は、現在でも約600メートルにわたり美しい松の木が立ち並び、訪れる人々に古の旅情を感じさせてくれます。

御油の松並木の概要

松並木の広がりと本数

御油宿の西端から赤坂宿の東端にかけて、約600メートルの距離にわたり、271本(2003年調査時点)の松の木が整然と並んでいます。かつては全国の五街道に同様の松並木がありましたが、都市化や開発、戦時中の伐採などによってその多くは姿を消しました。その中で、御油の松並木は現存する数少ない貴重な存在です。

自然と人の共存

この松並木は、かつては旅人にとって重要な役割を果たしていました。夏は日差しを遮り、冬は風雪を防ぐことで、旅路を快適に保っていたのです。現在もその美しさは保たれており、四季折々の風景が訪れる人々を魅了しています。

文学の中の松並木

江戸時代に書かれた滑稽本『東海道中膝栗毛』にも、この御油の松並木が登場します。作中では主人公の弥次郎兵衛と喜多八が松並木でキツネに化かされるという愉快なエピソードが描かれ、この地の情景が当時の人々にも深く印象づけられていたことがうかがえます。

松並木の保護と整備

安全な歩道の整備

かつては松並木を通る道路が生活道路として使用されていたため、車の往来が激しく、歩行者にとっては危険な場所でもありました。しかし2009年(平成21年)には道路の車道部分が狭められ、歩道が新たに整備されました。これにより、安全に散策を楽しむことができるようになりました。

御油松並木公園の開設

2013年(平成25年)4月には、松並木と音羽川の間に御油松並木公園が開園しました。これは豊川市の市制70周年記念事業の一環であり、憩いの場として地域の人々や観光客に親しまれています。

歴史的な歩み

江戸時代からの伝統

御油の松並木は、1604年(慶長9年)に徳川家康の命により、江戸幕府の国奉行・大久保長安が五街道に松並木を整備したことに始まります。当時、御油宿と赤坂宿の間にはおよそ650本の松が植えられていたと伝えられています。

戦争の時代を超えて

戦時中には、多くの松並木が軍需のために伐採されましたが、御油の松並木は1944年(昭和19年)に地元住民の働きかけにより国の天然記念物に指定され、伐採を免れました。しかし、1965年には松の数が170本程度にまで減少してしまいます。

保存活動の広がり

このような状況を受けて、1972年には御油松並木愛護会が結成され、1974年には一斉補植が行われ、松の数は360本以上に回復しました。1988年には御油の松並木資料館も開館し、歴史や文化を伝える拠点として活用されています。

近年の取り組み

2004年には松並木誕生400年・天然記念物指定60周年を記念し、「御油の町いきいきフェスタ in 松並木」が開催されました。また、2014年には誕生410年・指定70周年を記念して「Let's Go You 70 松並木 2014」が開催され、その時点で松の本数は273本となっていました。

アクセス情報

電車でのアクセス

御油の松並木へは、名鉄名古屋本線の以下の各駅からアクセス可能です。

バス利用と駐車場

また、名鉄国府駅からは豊川市コミュニティバス音羽線を利用し、「松並木東」バス停で下車することもできます。車で訪れる方のために、「御油の松並木駐車場」も完備されており、並木橋(松並木の御油側入口にある音羽川に架かる橋)のすぐ横に位置しています。

おわりに

御油の松並木は、ただの歴史遺産ではなく、今も地域の人々に愛され、守り続けられている文化財です。江戸時代の旅人たちが見上げたであろう松の木々の間を、現代の私たちも歩くことができるというのは、まさに時を越えた体験です。歴史と自然が調和するこの場所を、ぜひ一度訪れてみてはいかがでしょうか。

Information

名称
御油の松並木
(ごゆ まつなみき)

豊橋・渥美半島

愛知県