赤岩寺は、愛知県豊橋市に位置する、高野山真言宗の歴史ある寺院です。山号は赤岩山と称し、本尊には聖観音が祀られています。また、国の重要文化財に指定されている「木造愛染明王坐像」が安置されていることでも広く知られています。
寺の開創は古く、神亀3年(726年)に、聖武天皇の勅願を受けた高僧行基菩薩によって建立されたと伝えられています。創建当初は「赤岩山法言寺」と称しておりましたが、天安元年(857年)に弘法大師空海の十大弟子の一人である杲隣上人(こうりんしょうにん)が中興し、宗派を真言宗に改めました。
その後、鎌倉時代初期には、三河国の守護職を務めていた安達盛長が、源頼朝の命を受けて再興したとされる、いわゆる「三河七御堂」の一つとして、赤岩寺の弥陀堂が名を連ねています。このことからも、当寺が当時の政治的・宗教的に重要な役割を担っていたことがうかがえます。
赤岩寺の代表的な文化財の一つが、木造愛染明王坐像です。この像は鎌倉時代に作られたもので、一面三目六臂(いちめんさんもくろっぴ)という独特の姿をしています。頭には、口を開けた獅子の冠をいただき、威厳ある姿が特徴です。
この像は昭和7年に修復された際に、獅子冠の内部から驚くべき発見がありました。それは、愛染明王の小像104躯と愛染明王名号が収められていたという事実です。これらの発見は、学術的にも非常に貴重なものであり、この像が13世紀後半の東海地方を代表する仏像の一つであることを裏付けています。
赤岩寺には、国指定の重要文化財以外にも、豊橋市指定文化財として認定された仏像がいくつかあります。その一つが、木造聖観音立像です。こちらは本尊としても安置されており、訪れる人々の信仰を集めています。
また、仏教の宇宙観に基づく浄土信仰を象徴する阿弥陀三尊の種子が描かれた一幅の掛け軸も、市の文化財として大切に保存されています。これらの文化財は、寺の歴史と信仰の深さを物語る貴重な遺産といえるでしょう。
赤岩寺の魅力は、歴史や文化財にとどまらず、その豊かな自然環境にもあります。寺の周囲には、落葉広葉樹と針葉樹の混合林が広がり、四季折々の景観を楽しむことができます。
春には桜が境内を彩り、新緑の季節には生命の息吹を感じられ、秋には境内一帯が紅葉に包まれます。訪れるたびに異なる風景が出迎えてくれるため、季節ごとに何度でも訪れたくなる場所です。
赤岩寺の近くには「赤岩寺自然歩道」と呼ばれるハイキングコースが整備されています。この道は一年を通して散策を楽しむことができ、心と身体のリフレッシュに最適なスポットです。穏やかな山道を歩きながら、森林の香りや鳥のさえずりを感じる時間は、訪れる人々に癒しを与えてくれます。
赤岩寺では、毎年「寺宝展」が開催されています。この催しでは、通常は非公開となっている寺の貴重な宝物が一般に公開され、多くの参拝者や文化財ファンが訪れます。地域の人々との交流の場としても機能しており、歴史ある寺と現代の人々とをつなぐ大切な機会となっています。
赤岩寺は、1300年近い歴史を有する由緒ある寺院であり、高野山真言宗の精神と共に多くの信仰を集めてきました。国の重要文化財である愛染明王坐像や、市指定文化財など貴重な文化財を有し、自然と調和した美しい環境の中に位置することで、訪れる人々に深い感動を与えています。
歴史・文化・自然のいずれをとっても見どころ満載の赤岩寺は、豊橋市を訪れる際にはぜひ立ち寄っていただきたい必見の観光スポットです。