豊橋市美術博物館は、愛知県豊橋市今橋町に位置する市立の文化施設であり、豊橋公園(通称:城跡公園)内に設けられています。市民にとっては芸術や歴史に触れることのできる貴重な場所として長年親しまれており、2024年(令和6年)には大規模なリニューアルを経て、さらに充実した内容となりました。
1階には美術展示室(展示室1〜4)があり、多彩な企画展や収蔵品展が開催されます。ほかにも、講義室やミュージアムショップ、カフェレストラン「neo costarica museum cafe」も併設され、来館者の憩いの場としても利用されています。
美術館では、地元・豊橋にゆかりのある作家や、愛知県内で活躍した画家たちの作品を中心に収蔵しています。主な作家には以下のような人物が挙げられます。
2階は歴史展示室(展示室5〜9)となっており、常設展「とよはしの歴史」を通して、時代の流れに沿って18のテーマに分けて展示が構成されています。豊橋の成り立ちや暮らしの変遷を学べる貴重な資料が多数公開されています。
昭和54年の開館以来、郷土作家の作品を中心に収集を続けており、現在では絵画、写真、書、工芸作品などおよそ1800点を所蔵しています。特に近代絵画の充実度は高く、地域の芸術史を支える基盤となっています。
吉田城関連の史料や、東海道を描いた絵画、近世の郷土画人の作品などを収蔵し、地域の歴史を多角的に伝えています。
豊橋市美術博物館には、豊橋出身で元丸善相談役の司忠氏による寄贈品を中心とした「司コレクション」が収蔵されています。陶磁器・絵画に造詣が深かった司氏が収集した優れた作品群で、以下のような構成となっています。
青磁を中心とした唐三彩、龍泉窯の作品など、優美な造形が特徴です。
11代・永楽保全から13代・永楽和全までの京焼作品が揃い、写し物を含めた多様な様式を楽しめます。
日本各地約50ヶ所の窯で焼かれた陶磁器が収蔵され、備前焼などの伝統を感じさせる品々も含まれています。
北大路魯山人、富本憲吉、永楽善五郎など著名な陶芸家の大作が揃っており、岩田藤七のガラス作品も見どころです。
昭和41年に発足した調査委員会により、市内および周辺地域から民具などが収集されました。これらは旧多米小学校(現:民俗資料収蔵室)で展示されており、生活・生産に使われた約6,900点に及ぶ道具類を通じて、庶民の暮らしを知ることができます。
豊橋市美術博物館は、市制70周年の記念事業の一環として1979年(昭和54年)6月1日に開館しました。その建築は高く評価され、第11回中部建築賞を受賞するなど、設計面でも注目を集めました。
その後、2022年(令和4年)10月17日より改修工事のため全館休館となっていましたが、2024年(令和6年)3月1日に待望のリニューアルオープンを迎えました。新たな構成では、1階を美術展示室、2階を歴史展示室とし、展示の内容と動線が大幅に改善されました。
今回のリニューアルでは、1階に授乳室やキッズスペースが新設され、家族連れにも利用しやすい施設へと生まれ変わりました。また、中庭には彫刻家・国島征二氏の作品が設置され、「光庭(ひかりにわ)」として新たなシンボル空間となっています。
さらに、ロゴマークも一新され、デザイナー味岡伸太郎氏による「3つの球体が結びついた」デザインが採用され、視覚的にも印象深いものとなりました。
豊橋市美術博物館は、芸術と歴史を融合した文化拠点として、地域住民のみならず観光客にも価値ある学びと発見を提供しています。美術や歴史に興味をお持ちの方はもちろん、家族連れでも気軽に訪れることができる整った施設であり、今後ますますその魅力を広げていくことでしょう。