菟足神社は、愛知県豊川市小坂井町に鎮座する由緒ある神社で、延喜式神名帳にもその名が記され、長い歴史と豊かな文化を今に伝えています。古代から現代まで、地域の人々に親しまれてきたこの神社は、神秘的な雰囲気と数々の見どころを持ち合わせており、観光地としてもおすすめのスポットです。
菟足神社の主祭神は、菟上足尼命(うなかみすくねのみこと)です。この神様は、古代日本の天皇・孝元天皇の子孫にあたる人物で、雄略天皇の時代に、現在の東三河地方である「穂の国」の国造に任ぜられたと伝えられています。
また、菟上足尼命の祖先には、仁徳天皇の皇后・磐之姫媛命の父である葛城襲津彦命という強大な豪族がいます。このように、天皇や有力豪族と深い関わりを持つ人物が祀られていることからも、菟足神社の歴史的価値の高さがうかがえます。
菟上足尼命は、その治政の功績により、没後に三河国平井の柏木浜に祀られ、のちに天武天皇の時代、白鳳15年(686年)4月11日、秦石勝(はたのいしかつ)という人物の手により現在地へ遷座されました。これは1300年以上も前のことにあたり、神社の長い歴史を物語っています。
その後、貞観6年(864年)には神階が従五位下に昇進し、平安時代の『延喜式』にも名前が記録されています。明治時代には勅使の参向を受けるなど、皇室との関わりもありました。明治11年(1878年)には有栖川宮熾仁親王の御宸筆による社号軸を受け、さらに大正7年(1918年)には郷社から県社へと昇格しています。
菟足神社の魅力のひとつが、境内各所に隠された「ウサギ」のモチーフ探しです。神社の神紋が「兎」であることから、灯籠や瓦、建物の装飾など至るところにウサギが隠れています。その数はなんと50羽近くにもなり、訪れる人たちの楽しみのひとつになっています。
また、拝殿内には巨大な張り子のウサギ神輿が飾られており、その大きさと迫力には思わず目を見張ることでしょう。お子様連れの家族や写真好きの方にも人気のスポットです。
菟足神社の代表的な祭りである風まつりは、毎年4月の第2土曜・日曜に行われます。この祭りは、今昔物語集や宇治拾遺物語といった古典文学にも登場するほどの歴史を誇ります。
古来、農耕や狩猟の豊作を願う「雀射初(すずめいそめ)」といった神事が行われており、現在では手筒花火や打ち上げ花火、地元の若者たちによる山車の巡行など、華やかで迫力ある行事が繰り広げられます。山車が狭い通路を何度も切り返しながら進む姿は、まさに地域の心意気と伝統の結晶です。
毎年旧暦1月7日には、田まつりが開催されます。この祭りは、愛知県の無形民俗文化財にも指定されており、五穀豊穣を願う伝統的な行事として地域に根付いています。
菟足神社には、国指定・県指定の文化財が数多く保存されています。
愛知県豊川市小坂井町字宮脇2番地の1
菟足神社は、ただの古社ではなく、歴史・文化・信仰・楽しみが融合した豊川の誇る観光スポットです。季節ごとの祭礼やウサギ探し、歴史的建造物や文化財の数々。どの年代の方でも楽しめる要素が満載です。
ぜひ一度、歴史と自然の調和に包まれたこの神社を訪れ、静謐な空気と地域の温もりに触れてみてはいかがでしょうか。