豊橋市二川宿本陣資料館は、愛知県豊橋市二川町字中町65番地に位置する公立の博物館で、江戸時代の宿場町の姿を今に伝える重要な施設です。本陣を中心とし、庶民が宿泊した旅籠屋(はたごや)である「清明屋(せいめいや)」、1991年に新設された資料館、さらに近隣の商家「駒屋(こまや)」によって構成されています。
二川宿本陣の建物が現在も残されているのは、東海道の中でも二川宿と草津宿のわずか二箇所だけであり、非常に貴重な文化遺産とされています。1993年度にはその景観や保存の取り組みが評価され、「第1回愛知まちなみ建築賞」を受賞いたしました。また、2015年には商家「駒屋」が一般公開され、二川宿は本陣・旅籠屋・商家の三つがそろって見学できる日本で唯一の宿場町となりました。
本陣は、江戸時代の文化4年(1807年)から明治時代までおよそ60年にわたり、武田家の家臣・馬場信春の子孫と伝えられる馬場彦十郎が本陣職を務めていました。宿駅制度が廃止された後も、この建物は1985年まで馬場家の居宅として使われ続けました。その後、土地と建物が豊橋市に寄贈され、江戸時代末期の景観を忠実に再現する形で復元整備が行われました。
この本陣は1987年11月には豊橋市の史跡として正式に指定され、現在は当時の趣を色濃く残す貴重な建物として公開されています。
資料館は、本陣の復元とあわせて1991年に新築された鉄筋コンクリート造の建物で、江戸時代の街道や宿場文化に関するさまざまな展示が行われています。館内は以下の三つのコーナーに分かれ、来館者に深い学びと理解を提供しています。
本陣のすぐ隣には、かつて庶民が宿泊した旅籠屋「清明屋」があります。この建物は倉橋家によって江戸時代後期から明治初期にかけて運営されており、2001年には豊橋市指定有形文化財に指定されました。その後、2005年より一般公開が始まり、広く一般の方々に親しまれています。
清明屋は、江戸時代後期のこの地域における典型的な旅籠屋の外観をよく残しており、宿場町のにぎわいや当時の旅の様子を身近に感じられる貴重な場所です。現在は、資料館や商家「駒屋」と並び、豊橋市二川宿本陣資料館を構成する主要施設の一つとして保存・公開されています。
商家「駒屋」は、江戸時代から二川宿で商業を営んでいた田村家の屋敷を保存したものです。田村家は、商業の傍らで問屋役や名主などの重要な地域の役職も務めており、地域社会の要となる存在でした。駒屋の主屋や土蔵など8棟の建物は、2003年に豊橋市指定有形文化財に指定され、2015年11月1日より一般公開されています。
館内では、田村家に伝わる資料の展示に加え、雑貨店やカフェも併設され、文化的な体験とともに現代的な楽しみも味わえる空間となっています。また、近隣には分家である「西駒屋」(主屋と土蔵は国の登録有形文化財)や「東駒屋」も存在し、現在も味噌・醤油の醸造を営んでいます。
豊橋市二川宿は、本陣・旅籠屋・商家という、宿場町の中核を成す三つの施設がすべて現存しており、それらを一度に見学できる日本で唯一の宿場町です。それぞれの施設には当時の人々の暮らしや役割が色濃く残されており、江戸時代にタイムスリップしたかのような体験を提供してくれます。
歴史と文化に触れる旅をお考えの際は、ぜひ豊橋市二川宿本陣資料館を訪れてみてください。きっと、宿場町の奥深さと日本の伝統に心動かされることでしょう。