豊橋市民俗資料収蔵室 ふるためは、愛知県豊橋市多米町に位置する民俗資料館で、約3,500点にも及ぶ貴重な民俗資料を収蔵・展示している施設です。建物は、かつて豊橋市立多米小学校として使われていた木造校舎を活用しており、豊橋市内で現存する唯一の木造校舎でもあります。この建物の管理は、多米文化協会が豊橋市からの委託を受けて行っています。
現在、「豊橋市民俗資料収蔵室」では、多米小学校の旧校舎を活用し、市内および東三河地域から収集された民俗資料を公開しています。展示は5つのテーマに分かれており、それぞれが地域の生活や産業の歴史を伝えています。
戦時中に建設されたにもかかわらず、本校舎には比較的良質な材木が使用されており、再利用材(転用材)は用いられていません。地震や強風などによる構造の変形を防ぐために、柱と梁を斜めに結ぶ方杖(ほうづえ)と呼ばれる工法が採用されています。この方法は、当時の学校建築で標準的に用いられていた技術です。
建物は木造平屋建てで、桁行(長さ)が62メートル、梁間(幅)が10メートルあります。内部には5つの教室に加え、職員室、校長室、倉庫の計8部屋が設けられていました。
1873年(明治6年)6月、多米地区に「多米学校」が創設されました。そして1901年(明治34年)には、現在の地、朝倉川や愛知県道4号線(多米街道)北側に校地が移転されました。この多米地区は豊橋市の東部に位置し、豊橋駅からはおよそ6キロメートルの距離にあります。
1941年(昭和16年)には「多米国民学校」と改称されましたが、太平洋戦争が進行していた1944年(昭和19年)10月に、本校舎(現在の本棟)が完成。戦後の1947年(昭和22年)には再び「豊橋市立多米小学校」となり、1954年(昭和29年)には西校舎(現在の西棟)も竣工しました。これらの校舎は、戦後の児童数増加に対応するため建てられたものでした。
その後、1976年(昭和51年)には、現在の校地である朝倉川の南側へと学校が移転し、校舎はその役目を終えました。
1966年(昭和41年)には、豊橋市によって「近世民俗資料調査委員会」が発足し、市内や奥三河地方(東栄町、豊根村など)で民俗資料の収集が始まりました。三河海苔や養蚕、農耕などに関する貴重な道具や資料も次々と収集され、1978年(昭和53年)5月27日には、「豊橋市民俗資料収蔵室」として一般公開が始まりました。
1979年(昭和54年)には、「豊橋市美術博物館」の附属施設となり、本校舎全体を使った展示が実現しました。
2006年(平成18年)には、豊橋市政100周年を記念して制作された映画『早咲きの花』のロケ地として使用されました。主演の浅丘ルリ子さんが演じる主人公が通っていた小学校として、この旧校舎が登場しました。
この映画をきっかけに、かつての教員が机や椅子、オルガンといった学用品の収集を行い、2009年(平成21年)には昭和20~30年代の教室を再現した展示が新たに設置されました。2012年(平成24年)時点では、年間約7,000人が訪れる人気の施設となっています。
さらに、2016年(平成28年)2月25日には、建物自体が登録有形文化財に登録され、文化的価値も高く評価されるようになりました。毎年秋に開催される「あいちのたてもの博覧会(あいたて博)」では、建築の専門家であるあいちヘリテージマネージャーらによる建物の解説も行われ、地域文化への理解を深める場ともなっています。
開館日:土曜・日曜・祝日のみ開館
休館日:平日および年末年始(12月29日~1月3日)
開館時間:午前9時30分~午後4時
・豊橋鉄道東田本線「赤岩口停留場」より徒歩約25分
・豊鉄バス飯村岩崎線「民俗資料収蔵室前」バス停より徒歩約1分