伊良湖岬灯台は、愛知県田原市の渥美半島の最先端に位置し、太平洋(遠州灘)と伊勢湾、三河湾を望む絶好のロケーションにあります。この灯台は、昭和4年(1929年)に建設されて以来、海上交通の安全を見守り続けてきました。白亜の円形塔型という美しいデザインで、周囲の自然風景と調和しながら、訪れる人々に深い印象を与えています。
伊良湖岬灯台は、その美しさと歴史的価値が認められ、1998年(平成10年)には「日本の灯台50選」に選定されました。太平洋から伊勢湾、三河湾までを一望できる展望は圧巻で、訪れるたびに新たな感動を呼び起こします。
晴れた日の夕暮れ時には、灯台が点灯する瞬間と空を染める夕陽が幻想的な光景を生み出します。真っ白な灯台と、水平線へと沈む赤く染まった太陽のコントラストは、まさに絵画のような美しさ。恋人同士や写真愛好家にとって、絶好のロマンチックスポットとなっています。
伊良湖岬灯台の設置は1929年(昭和4年)11月20日。当初はアセチレンガスを光源として使用していましたが、1960年(昭和35年)に電化され、2002年(平成14年)には改築され現在の姿となっています。海上交通の要衝である伊良湖水道を航行する船舶の安全を守る重要な存在として、今もなお現役で活躍しています。
灯台の背後にある丘の上には、伊勢湾海上交通センターが設置されており、伊良湖水道を通る船舶の安全航行を支援するため、情報提供や航行管制の業務が行われています。
岬周辺には恋路ヶ浜という美しい砂浜が広がり、「日本の渚百選」「日本の道100選」「日本の音風景100選」「日本の白砂青松100選」などにも選ばれています。周辺では、ウミウやウミガメなどの海洋生物も多く見られ、時にはイルカやクジラが姿を現すこともあります。
明治時代の民俗学者・柳田國男が1898年にこの地を訪れた際に拾った椰子の実の話を、詩人・島崎藤村に伝えたことで生まれたのが、有名な詩「椰子の実」です。現在では「やしの実博物館」や「椰子の実詩碑」などが整備され、物語の舞台を感じることができます。また、椰子の実をフィリピンから取り寄せて海へ流すユニークな町おこし活動も行われています。
灯台周辺は、日本の商業捕鯨発祥の地とも言われ、かつてはザトウクジラやマッコウクジラなど多くの大型哺乳類が見られました。現在でもスナメリやオキゴンドウなどが観察されることがあり、観光船によるウォッチングツアーも人気です。また、野鳥の渡りの中継地にもなっており、シーズンにはバードウォッチャーで賑わいます。
岬の内陸部には標高約140メートルの宮山(みややま)があり、その周辺の原生林は「宮山原始林」として天然記念物・史跡・名勝に指定されています。温暖で湿潤な気候と相まって、豊かな自然が今も守られ続けています。
最寄り駅はJR東海道本線・飯田線、名鉄名古屋本線の「豊橋駅」。そこからは豊橋鉄道渥美線「三河田原駅」経由で豊鉄バス伊良湖本線「伊良湖岬」バス停にて下車可能です。一部時間帯では「保美」バス停での乗り換えが必要です。
東名高速道路「豊川インターチェンジ」より約90分のドライブで到着します。美しい海沿いの道を走りながら、心地よい旅を楽しむことができます。
伊良湖岬灯台は、雄大な海と豊かな自然、歴史や文学の香りに包まれた、訪れる価値のある観光地です。白亜の灯台が放つ静かな光は、過去から現在、そして未来へと受け継がれる希望の象徴でもあります。ぜひ一度、渥美半島の最先端を訪れ、その景色と空気を体感してみてください。