伊良湖岬は、愛知県田原市伊良湖町に位置し、渥美半島の先端にある美しい岬です。太平洋(遠州灘)と伊勢湾、三河湾を望む絶景スポットであり、古くから海上交通の要衝として、また観光地としても広く知られています。
伊良湖岬は、北西の伊勢湾、北東の三河湾、南側の太平洋の境界に位置しています。周辺海域では、名古屋港などへ向かう船舶が通航する重要な伊良湖水道航路が広がり、西の沖合には三重県の神島が浮かびます。また、篠島との間にある海峡は中山水道と呼ばれています。
1929年(昭和4年)、船舶の安全航行を目的に伊良湖岬灯台が建設されました。この灯台は1998年(平成10年)、「日本の灯台50選」にも選出され、岬のシンボルとして親しまれています。
岬の北側には伊良湖フェリーターミナルが設置され、知多半島の河和港や三重県鳥羽市の鳥羽港との航路を結んでいます。観光だけでなく、地域交通の要所としても重要な役割を担っています。
太平洋側に広がる恋路ヶ浜は、「日本の渚百選」「日本の道100選」「日本の音風景100選」「日本の白砂青松100選」に選ばれるなど、風光明媚な景観が高く評価されています。
「恋路ヶ浜」という名は最近付けられたものではなく、1808年(文化5年)の和歌にも詠まれるほど古い歴史を持っています。伝説によれば、高貴な男女が許されぬ恋の末に都を追われ、この地で暮らしたことにちなむとされています。
伊良湖岬灯台から日出の石門までの約1kmにわたる白い砂浜は、「願いのかなう鍵」や「永遠の愛を誓う鐘」などが設置されており、恋人たちにとって特別な場所とされています。特にプロポーズスポットとして人気が高く、「恋人の聖地」とも称されています。
恋路ヶ浜付近では美しい砂浜や、海蝕による日出の石門など自然の造形美が楽しめます。岬周辺にはウミウをはじめとする海鳥が多く棲息しており、ウミガメの産卵地にもなっています。
かつてはニホンアシカが繁殖しており、「アシカ島」という地名も残っています。さらに、日本の商業捕鯨の発祥地でもあり、多種多様なクジラ類が観察されてきました。現在でも、オキゴンドウやスナメリ、小型イルカ類を見ることができます。
サシバなどの渡り鳥が通るルートにもあたり、季節になると多くのバードウォッチャーが訪れます。
岬内陸にある標高139.8メートルの宮山(みややま)は、古くから神域として保護されてきた原生林があり、天然記念物・史跡・名勝に指定されています。
1898年(明治31年)、民俗学者の柳田國男がこの地を訪れ、拾った椰子の実の話を島崎藤村に伝えたことがきっかけで、藤村が創作したのが有名な詩「椰子の実」(『落梅集』所収)です。
この逸話にちなみ、日出園地にはやしの実博物館や椰子の実詩碑が設置されています。また、地元の観光推進団体である「渥美半島観光ビューロー」は、フィリピンから購入した椰子の実を毎年石垣島沖から流す「椰子の実流し」を行っており、100個以上の椰子の実が漂着しています。
伊良湖岬灯台は、白く美しい塔形が特徴の灯台で、初点灯は昭和4年。当初はアセチレンガスによる光源でしたが、昭和35年に電化され、三河港や衣浦港へ向かう多くの船の目印となっています。
晴れた日の夕暮れ時には、灯台と真っ赤に染まる空、そして広がる青い海との美しいコントラストが楽しめ、訪れる人々に忘れられない思い出を残しています。
伊良湖クリスタルポルトは、三重県鳥羽市や愛知県知多半島、三河湾の島々を結ぶフェリーのターミナルとして機能しており、渥美半島観光の拠点となっています。
館内には売店があり、田原市や鳥羽・知多地方のお土産が購入できるほか、レンタカーやレンタサイクルのサービスも提供されています。また、伊勢湾フェリーと名鉄海上観光船の切符売り場も設置されています。
伊良湖岬へのアクセスには、渥美半島南岸の国道42号(伊勢街道・表浜街道)と北岸の国道259号(田原街道)が主要道路として利用されています。