知立神社は、愛知県知立市西町に鎮座する格式高い神社です。三河国二宮に位置づけられた由緒ある神社で、江戸時代には「東海道三社」の一つとして広く信仰を集め、尾張徳川家の保護を受けました。春には美しい桜が境内を彩り、多くの参拝者が訪れます。
知立神社は、かつて「池鯉鮒大明神(ちりゅうだいみょうじん)」と称されていました。この名前は、当地が東海道の宿場町であった池鯉鮒宿(ちりゅうしゅく)と深い関わりを持っていたことを示しています。神社は、古来より旅人の安全を祈願する場所としても崇敬を集めてきました。
また、神社周辺には「知立まつり」などの伝統行事もあり、文化的な魅力に溢れたスポットとなっています。
神社の入り口には立派な鳥居が構えられており、境内には本殿をはじめとする貴重な建造物が並びます。特に多宝塔や拝殿は歴史的価値が高く、国の重要文化財や登録有形文化財に指定されています。
知立神社では、以下の6柱の神々をお祀りしています。
また、祭神については文献によって異なる説があり、日本武尊の従者である大伴武日や吉備武彦を祀るとするもの、「チリュウ」という音から木花知流比売(このはなちるひめ)を祭神とする説も存在します。
知立神社は、以下のようなご利益があるとされています。
社伝によれば、第12代景行天皇の時代に、日本武尊(やまとたけるのみこと)が東国平定の際、戦勝を祈願したことが知立神社の始まりとされています。その後、平定の帰途に感謝の意を込め、建国祖神として現在の主祭神を祀ったと伝えられています。また、第14代仲哀天皇元年の創建とする説もあります。
永見氏一族が氏神として祀っていた記録があり、『永見氏家譜』によると、知立神社の神主は天武天皇の勅命を受けて白鳳2年(673年)に任命されたとされています。最初の鎮座地は現在より東の山町の高地であり、その後、上重原を経て、天正元年(1573年)に現在の場所に遷座しました。
知立神社の神階は平安時代に昇叙され、国史において以下のように記録されています。
その後、正安3年(1301年)の社蔵扁額には「正一位智鯉鮒大明神」と記され、最上位に昇叙されたことが確認されています。
江戸時代には、「東海道三社」の一つとして広く知られ、旅人や地元の人々に篤く信仰されました。特に「まむし除け」のご利益があるとされ、各地に分社が建立されました。
戦国時代に兵火により焼失した社殿は、江戸時代に入ると松平忠房によって再建され、社領として10石が寄進されました。さらに、江戸幕府の庇護のもとで地域の産土神(うぶすながみ)として信仰を集め、安産祈願や雨乞いの神としても有名になりました。
明治維新後の近代社格制度において、知立神社は明治5年(1872年)に県社に列格されました。戦後も地元の人々に支えられながら、国家安寧・家内安全の神社として多くの参拝者を迎えています。
知立神社の拝殿は、主要社殿群の正面に位置し、祭文殿に接続しています。桁行六間・梁間三間の切妻造妻入で、屋根は檜皮葺(ひわだぶき)です。前面には間口一間の向拝が付属しており、参拝者が祈りを捧げる神聖な場となっています。
本殿は天保2年(1831年)に造営された三間社流造(さんげんしゃながれづくり)で、屋根は檜皮葺です。幣殿は本殿に接続し、大正期に造営されました。祭文殿と回廊は明治20年(1887年)に建築され、昭和期に改修が行われています。これらの社殿は「尾張造」と呼ばれる社殿配置で、三河地方では非常に珍しい遺構として国の登録有形文化財に指定されています。
境内にそびえる多宝塔は、永正6年(1509年)に再建されたもので、高さ約14.5メートルの2層塔です。屋根は柿葺(こけらぶき)で、四隅には宝珠を配しています。もともとは知立神社の神宮寺に属していましたが、明治の廃仏毀釈の際に仏壇を撤去し文庫として利用されたため、貴重な建築として現存しています。現在、国の重要文化財に指定されています。
拝殿前の神池に架かる石橋は、享保17年(1732年)に建立された太鼓橋で、知立市指定文化財となっています。花崗岩製で全長6.6メートル、幅2.4メートルの規模を誇り、『東海道名所図会』にも描かれた歴史的価値の高い橋です。
境内には、昭和43年(1968年)に地元の旧家から移築された茶室「池鯉鮒庵(ちりゅうあん)」があり、国の登録有形文化財に指定されています。落ち着いた雰囲気の中で、かつての文化人が茶の湯を楽しんだ情景を偲ぶことができます。
祭神は豊玉姫命(とよたまひめのみこと)で、本殿の主神である鸕鶿草葺不合尊(うがやふきあえずのみこと)の母神にあたります。安産の神として信仰されており、朱塗りの社殿が特徴的です。国の登録有形文化財に指定されています。
祭神は吉備武彦命(きびのたけひこのみこと)で、知立神社の創建に携わったと伝えられています。
1873年(明治6年)の神社合祀令により、知立神社の境内や周辺にあった小祠が合祀されました。天照皇大神(あまてらすおおみかみ)をはじめとする多くの神々が祀られています。
知立神社では、一年を通じて様々な神事や祭礼が執り行われます。特に「知立まつり」は、多くの観光客で賑わう華やかな祭りです。
知立神社には数多くの文化財が残されています。特に、室町時代の多宝塔や江戸時代の石橋、明治期の茶室などが貴重な遺産として守られています。
知立神社は、古くから信仰を集める格式高い神社であり、歴史的な建造物や文化財が数多く残る貴重な場所です。訪れることで、日本の伝統や文化を肌で感じることができるでしょう。