八百富神社は、愛知県蒲郡市竹島町に位置し、地元の方々からは「竹島弁天」とも親しまれています。日本七弁天の一つにも数えられており、長い歴史と自然に囲まれた神聖な地として、多くの参拝者や観光客を惹きつけています。
八百富神社は、蒲郡市の沖合いに浮かぶ無人島「竹島」の全域を境内としています。竹島は本土から約400メートルしか離れていないものの、長さ387メートルの竹島橋によって容易に渡ることができます。干潮時には島と本土が繋がる“タイダル・アイランド”の特徴もあり、自然の神秘を感じさせます。
竹島は標高約22メートル、周囲約680メートル、面積は1.9ヘクタールと比較的小さな島です。しかしその自然は特異で、対岸とは大きく異なる暖地性の植生が広がっており、国の天然記念物「八百富神社社叢」に指定されています。1953年に行われた調査では、238種の高等植物が確認されました。
八百富神社の創建は、1181年(養和元年)に三河国の国司であった藤原俊成が、琵琶湖の竹生島より勧請して創立したと伝えられています。祀られている祭神は、市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)で、水や芸能の神として知られています。
八百富神社の境内には、いくつかの神社が併設されています。
宇賀御魂命(うがのみたまのみこと)を祀る神社で、五穀豊穣や商売繁盛のご利益があるとされます。
大国主命(おおくにぬしのみこと)を祭神とし、福徳と縁結びの神として信仰されています。
八百富神社を創建した藤原俊成を祀る神社で、1931年に鎮座。皇太后からの菓子の下賜や、秩父宮妃・高松宮妃からの和歌の贈与など、由緒ある神社です。
こちらは龍神を祀る神社で、水の守り神として信仰されています。
八百富神社および竹島には、多くの文化財が存在しています。
竹島やその周辺は多くの文人に愛された地でもあります。特に有名なのが、与謝野晶子による詠歌です。
旗立てて 日参の儀を 行はん 人も橋ゆく 八百宮の神
風止みて 長き入江の 橋の灯の 闇に浮べる 蒲郡かな
また、小津安二郎監督の映画『彼岸花』のロケ地としても知られ、文化的な価値の高い場所といえるでしょう。
竹島橋のたもとには、昭和初期の文人たちが集った料理旅館「常磐館」がかつて存在しました。現在はその跡地に「海辺の文学記念館」が建ち、文人たちの足跡を辿ることができます。
また、旧蒲郡ホテルは現在「蒲郡クラシックホテル」として営業しており、アールデコ調の内装と城郭風の外観が魅力的です。春には「つつじまつり」が開催され、美しいツツジと竹島の景観が楽しめます。
八百富神社と竹島は、自然と信仰、そして文化が融合した非常に魅力的な観光地です。神社としての歴史的価値はもちろん、島全体が天然記念物に指定されている点も大きな特徴です。訪れることで、日本の伝統や自然の豊かさ、文化的背景を深く感じることができるでしょう。