愛知県 > 蒲郡・西尾・碧南 > 平原の滝

平原の滝

(ひらはら たき)

神秘と信仰に彩られた滝の名所

平原の滝は、愛知県西尾市平原町に位置する自然の景勝地で、高さ約5メートルの「大滝」と、約2メートルの「小滝」の二段からなる滝です。古くからこの地の人々にとって、単なる自然の景観ではなく、信仰の対象として大切にされてきました。

この滝は特に「薬師の滝(やくしのたき)」とも呼ばれ、健康長寿や病気平癒のご利益があると信じられており、多くの人々が祈りを捧げてきました。周囲は整備された遊歩道や休憩所、キャンプ場などがあり、自然を楽しみながら静かに心を癒すことができる場所として親しまれています。

歴史と由来

平原の滝の起源は、平安時代にさかのぼります。清和天皇の御代(西暦858年~875年)、比叡山延暦寺の高僧・慈覚大師 円仁(じかくだいし えんにん)がこの地を訪れ、一夜の宿を借りた際に不思議な夢を見ました。その夢のお告げに導かれるままに山中を歩いていたところ、この滝を発見したと伝えられています。

この故事から、滝の水を飲めば長生きでき、また滝に打たれれば難病も癒えるといった言い伝えが生まれ、以来、滝は信仰の霊地として多くの人々に親しまれるようになりました。現在では飲用に適さないため、滝水を飲むことはできませんが、その信仰の精神は今なお大切に守られています。

閏年の不思議な風習

平原の滝の小滝には、特に興味深い風習が残されています。それは閏年(うるうどし)には13本、それ以外の年には12本の竹のかけひ(筧)がかけられるというものです。この竹筧に沿って水が流れ落ち、祈願に訪れた善男善女(ぜんなんぜんにょ)がその水に背を打たれることで、心身の浄化や病気平癒の願いが込められたと伝えられています。

周辺施設と自然散策

無の里休憩所

滝周辺は「平原の里」として整備されており、自然の美しさとともに訪れる人々のための施設が充実しています。その中心となるのが「無の里休憩所」です。こちらは、かつて岐阜県の旧徳山村にあった民家を移築・再現した建物で、訪れる人々が一息つける休憩空間となっています。

遊歩道とキャンプ場

清流と緑に包まれた遊歩道は、季節ごとに変化する自然の風景を堪能できる散策ルートとなっており、軽いハイキングにも最適です。また、無料のキャンプ場も整備されているため、家族連れやアウトドア愛好家にも人気のスポットとなっています。

展望台について

かつては滝や周辺の景観を一望できる展望台も設置されていましたが、老朽化が進んだため、現在は安全上の理由から立ち入り禁止となっています。訪問の際は、案内看板などに従い、安全に配慮して散策をお楽しみください。

平原ゲンジボタルの里

周辺では、初夏の夜になるとゲンジボタルが舞う幻想的な光景を見ることができます。「平原ゲンジボタルの里」として知られ、自然と生き物の共生の大切さを実感できる貴重なスポットでもあります。

滝開きと神事

毎年7月の第1日曜日には、平原の滝で「滝開き」の神事が行われます。この日は地域の厄男(やくおとこ)が滝に打たれて無病息災を祈願する「水垢離(みずごり)」の儀式が執り行われ、厳かな雰囲気に包まれます。また、同日に野点(のだて)などの行事も催され、訪れる人々で賑わいを見せます。

アクセス情報

公共交通機関を利用する場合

最寄りの駅は名鉄西尾線の西尾駅です。駅からは、名鉄バス 室場経由 東岡崎行きに乗車し、「駒場」バス停で下車。その後、徒歩約40分で現地に到着します。道中には田園風景が広がり、のんびりとした時間を感じられます。

自動車を利用する場合

西尾駅から東方向へ約6km、車でのアクセスも可能です。国道23号(岡崎バイパス)の幸田須美ICを降りてから案内板に従って進むと、滝の入口に到着します。無料の駐車場も整備されているため、ドライブを兼ねた観光にもおすすめです。

まとめ

平原の滝は、美しい自然と古来よりの信仰が共存する静寂の地です。滝を見上げると、悠久の時を感じ、心が洗われるような感覚に包まれることでしょう。日々の喧騒を離れ、自然の中でゆったりと流れる時間を味わいたい方にとって、まさにぴったりの場所です。

Information

名称
平原の滝
(ひらはら たき)

蒲郡・西尾・碧南

愛知県