本光寺は、愛知県額田郡幸田町深溝に位置する、曹洞宗の格式ある寺院です。山号は瑞雲山(ずいうんさん)と称し、境内には美しい自然と歴史的な文化財が数多く残されています。特に、深溝松平家の菩提寺として知られ、歴代藩主の墓所があることから、国指定史跡にもなっております。
本堂には釈迦如来像が本尊として祀られており、脇侍には地蔵菩薩像と千手観音像が安置されています。これらの像は伝承では運慶の作とされるものの、実際の作者は不明です。また、境内には約1万本のアジサイが植えられており、開花時期には「アジサイ寺」としても親しまれています。
本光寺は、大永3年(1523年)に、深溝松平家初代・松平忠定によって創建されました。開山は、大洞山泉龍院の末寺として迎えられた希聲英音(きせいえいおん)和尚とされます。ただし、実際に寺院の礎を築いたのは二代目の華宗英香(けそうえいこう)であり、禅宗特有の「勧請開山」の形式に則って希聲を形式的な開山としています。
深溝松平家は後に肥前国島原藩へ転封となりましたが、藩主の遺体は今も本光寺に葬られています。墓所は西廟所と東廟所に分かれており、それぞれの場所に代々の当主の霊が祀られています。
西廟所には、初代から5代目、および11代当主の墓所があり、松平忠利の廟「肖影堂」や、松平好房の「孝子廟」、願掛け亀などが配置されています。
「願掛け亀」は、石碑を甲羅に乗せた石造の亀で、寛文12年(1672年)に建立されました。首の部分に設けられた窪みに賽銭を投げ入れ、見事入ると願いが叶うとされ、多くの参拝者が訪れます。
東廟所には、6代から10代、12代から19代の当主とその家族の墓所が整備されており、参拝の際には拝観料100円を納めるようになっています。これは実質的に保存修復のための募金として運営されています。
2008年の豪雨災害で崩壊の恐れがあった忠雄の墓所を、2009年に発掘調査した結果、西洋のグラスや慶長小判などの副葬品が出土し、近世大名の埋葬文化を知る上で大きな発見となりました。
島原藩主深溝松平家墓所は2014年に国の史跡に指定されており、重要な歴史的文化財として保護されています。
その他にも以下のような文化財が幸田町指定文化財として保存されています。
本光寺は「あじさい寺」の名にふさわしく、6月には色とりどりのアジサイが境内を埋め尽くし、多くの観光客で賑わいます。また、約5000本のツバキや、ウメ・サクラなども植えられており、3月〜4月には春の訪れを感じる多彩な花が楽しめます。
廟所へと続く参道は石畳で整えられ、三河地震で倒壊した石垣や墓石を再利用しています。両脇に咲き誇るアジサイは、訪れる人々の目を楽しませます。朱塗りの山門には「瑞雲山」の額が掲げられ、火災除けのおまじないとして瓦が逆向きに配置されている点も見逃せません。
本光寺へは、JR東海道本線「三ケ根駅」から徒歩約8分と、アクセスも良好です。また、地域巡回バスである「えこたんバス」の「幸田町郷土資料館」バス停からも近く、地元の文化と歴史を体感するのに最適な立地です。