遍照院は、愛知県知立市弘法町にある真言宗豊山派の寺院です。山号は「弘法山」、本尊は空海(弘法大師)自らが彫ったと伝えられる「見返り姿の自像」です。三河三弘法の一番札所として知られ、地元では「見返弘法」や「知立の弘法さん」として親しまれています。縁日には多くの参拝客が訪れ、賑わいを見せます。
遍照院の創建には、空海が関与したとされる伝説があります。寺伝によれば、815年(弘仁6年)、空海は関東巡錫の途中でこの地に約1か月滞在し、自ら3体の自像を彫ったと伝えられています。そのうちの1体が遍照院の本尊となりました。
江戸時代の1673年(延宝元年)、遍照院は刈谷藩の藩主の祈願寺として、上重原(現在の知立市)から現在の地へ移転しました。その後も地域の信仰を集め、1979年(昭和54年)には本堂が落慶し、現在の姿へと整えられました。
本堂の地下には「戒壇めぐり」があります。これは、完全な暗闇の中を歩きながら弘法大師の像を拝み、その下にある輪宝を回すという修行体験です。南無大師遍照金剛と唱えながら進むことで、自身の心を清め、仏の境地へと近づくとされています。訪れる多くの人々にとって特別な体験となる人気のスポットです。
本堂の裏手には、四国八十八ヶ所のお砂踏み霊場があります。その中心には「奥の院堂」があり、信徒の納骨堂として利用されています。宗旨・宗派を問わず永代供養を受け付けており、静かで落ち着いた雰囲気の中で参拝することができます。
境内には、身の丈15尺(約4.5m)もの大きな「子育弘法大師」の石像が建っています。この像は子供を抱く姿をしており、安産祈願や子供の健やかな成長を願う参拝者が多く訪れます。戦後は子授け祈願の信仰も高まり、春と秋の大祭では「子福もち」のお接待が行われます。
遍照院の弁天堂には、五穀豊穣・商売繁盛・技芸向上のご利益がある弁財天が祀られています。古くから真言宗の寺院に弁財天が奉納されることが多く、ここでも多くの信仰を集めています。
遍照院の水子堂では、多くの水子精霊の位牌を預かっています。水子精霊は恨みや障りとは無関係であり、供養をすることで先祖と同じように守護霊となるとされています。毎年8月末には「水子供養祭」が行われ、随時水子供養の受付も行われています。
遍照院の薬師堂には、江戸時代まで名古屋城内の「天王坊」に本尊として祀られていた霊験あらたかな薬師如来が安置されています。無病息災や病気平癒のご利益があるとされ、多くの信仰を集めています。薬師如来の前には「大随求菩薩」も祀られており、七月七度詣りの「ポックリ祈祷」も行われています。
遍照院の不動堂には「波切不動尊」が祀られています。ここは東海三十六不動霊場の第18番札所であり、厄除けや開運祈願のために多くの参拝者が訪れます。毎年、寒の入りから節分までの28日間は「星祭り祈祷護摩祈祷」が奉修され、護摩祈祷も随時受け付けています。
遍照院には、知立市指定文化財となっている貴重な仏像や経典が収められています。
愛知県知立市弘法町弘法山19
名鉄名古屋本線・三河線「知立駅」下車、徒歩約20分。なお、知立駅北改札口外には遍照院の「遥拝所」が設けられています。
遍照院は、三河三弘法の一番札所として長い歴史と深い信仰を誇る寺院です。本尊「見返り弘法大師」や戒壇めぐり、奥の院など、見どころが豊富で、多くの参拝者が訪れます。知立市の歴史や文化に触れながら、心を清めるひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。